01
暴君の絶対王政
「マジでイライラする」
私は、この男が好きだ。
朝っぱらからなぜかイライラしている、この人。
小顔で脚が長くて無駄にスタイルがよくて。
陶器みたいで無駄に肌が綺麗で。
常に獲物を狙ってますみたいな鋭い目をした、この人が好き。
「おい遠藤!来い!」
里垣由和。
見ての通りの暴君ですが。
「なんだよユワ」
「ユワじゃねぇ!ヨシカズ!」
「知ってるよ。で、なに?」
「俺の算数の宿題やっといて」
「………算数?」
「あ、数学か。…っ数学だよ!わかれよ!」
今日は何にご立腹なのか、大親友の遠藤くんに当たり散らしている。
当たり散らした挙げ句、バカを晒している。
怖い。怖すぎる。いろんな意味で。
ヤンキーってわけじゃないのに、きっとたいして喧嘩も強いわけじゃないのに、どうしてここまで虚勢を張れるのか疑問だけど。
でも私は、彼に恋をしている。
それも高校3年間ずーっと。
私の青春は、この暴君に捧げたと言っても過言ではない。
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