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「マジでイライラする」




私は、この男が好きだ。

朝っぱらからなぜかイライラしている、この人。


小顔で脚が長くて無駄にスタイルがよくて。

陶器みたいで無駄に肌が綺麗で。

常に獲物を狙ってますみたいな鋭い目をした、この人が好き。




「おい遠藤!来い!」




里垣由和。

見ての通りの暴君ですが。




「なんだよユワ」

「ユワじゃねぇ!ヨシカズ!」

「知ってるよ。で、なに?」

「俺の算数の宿題やっといて」

「………算数?」

「あ、数学か。…っ数学だよ!わかれよ!」




今日は何にご立腹なのか、大親友の遠藤くんに当たり散らしている。

当たり散らした挙げ句、バカを晒している。


怖い。怖すぎる。いろんな意味で。

ヤンキーってわけじゃないのに、きっとたいして喧嘩も強いわけじゃないのに、どうしてここまで虚勢を張れるのか疑問だけど。



でも私は、彼に恋をしている。

それも高校3年間ずーっと。


私の青春は、この暴君に捧げたと言っても過言ではない。




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