「好きだよ」

「私は嫌い」


僕の彼女はつれない。
何度も好きだと伝えても彼女はいつも僕と逆のことを言う。







「ねぇ」

「ん?どーしたの?」

「…ここにあった指輪、知らない?」

彼女は机の上にあったという指輪を探している。
指輪…きっと前の彼氏から貰ったものだろう。
よく指輪を見て嬉しそうな顔をする彼女。

「えー別によくない?だって今は僕の彼女でしょ?」

「それとこれは別だよ。それにあれは大切なものだし…」

「僕は君のことが好きだ。いつもはぐらかされるけど…返事は?」

「…、ごめん。もう帰るよ」

彼女は悲しそうにつぶやき、僕と目を合わせようとしない。

「ねぇ嫌い?」

「…嫌い」

「僕は好きだ」

「私は嫌い」

「愛してる」

「!…」

でも分かってる。彼女は一生僕をみてくれないことを。
一緒にいた時間は短かかったけど彼女にとってこれが負担になることくらい分かる。


「本当に愛してる。………いや、愛していた」

「…有難う。ばいばい」

彼女は最後に僕の顔を見て簡単な荷物だけ手に取り部屋から出て行った。



「好きだよ、かーのじょ」

居なくなった部屋に呟いた声は誰にも聞こえない。
僕は彼女が出て行った扉を見ながら手の平の指輪を強く握り締めた。





(僕の思いは叶わない。だって敵は見えない存在だから)



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