拝啓、愛する君へ
書きます。僕の最後の思いを
私はいつも同じ場所で同じ景色を眺めている。
私はあなたに逢う事ができないから送られてくる手紙を見る。
「昨日は少し時間が空いて久し振りに海を見に行って来たよ。海は何も変わらず、前に一緒に見たままだったよ」
海は何も変わらない、か。私の日々は私たちの思いとは逆に時間が過ぎていく。
「海か…懐かしい。昔はよく2人で行ったっけ」
私は今までに届いた沢山手紙を読み返していく。
手紙の数だけ私はここで過ごしていたことが分る。
白い部屋、白いベット…私はここから出ることはもうない。
「あれ、もう一枚手紙が入ってる?」
いつも手紙は鮮やかな海が描かれた便箋が使われていた。
でももう一枚の便箋は薄い赤色だった。
「………私も好きだよ。あはは、両思いだね」
頬に涙が流れる。
私は手紙を手で握りしめた。
―拝啓、愛する君へ。
書きます僕の思いを、この最後の気持ちを。
僕は君のこと忘れたことはなかったよ。
いつも君を思っていた。最近戦争が激しくなってきて昔のように君と過ごすのはもう叶いそうにない。
だから君と海を二人で見に行く約束守れそうにない。ごめんな。
沢山の思い出をくれて有難う。君といた時間は忘れない、一生ね。
好きだ。
口だと恥ずかしくて言えなかったけど今は会って直接言いたかったと後悔してるよ。
こんな僕と一緒にいてくれて有難う。
(先に行くよ、また会おう)
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