人生は何が起こるかなんて分からない。
全てが偶然であり必然である。





狭いオフィスで私はパソコンにずーっと向き合って格闘している。
ちらっと横の同僚を見ると同じようにパソコンと格闘している。
今は二人しかもう残っておらず部屋はパソコンのキーボードを押す音しか聞こえない。







「杏里〜資料制作終わった?」

「………よし、終わったわよ。んー!疲れた」

「お疲れー。あっそういえば杏里は漫画読むっけ?」

「読まないけど…。どうしたの?」

「実は彼氏と同棲しようと思うんだけど、私が漫画好きなの知らなくて…。ちょっとの間預かってもらっても良い?」

「まぁ少しなら良いわよ。私一人暮らしだし。…じゃあお疲れ様です」




会社から出ると外はもう真っ暗になっていた。
この会社に勤めて三度目の春だというのにまだ少し肌寒く、寄り道する気も起こらなかったので早足で家へと帰った。




そしてこれからあり得ないことが起こるなんて予想すら出来なかった。




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