突然の非日常が訪れた。
成人して、会社勤めになって、一人暮らしを始めて。


毎日私以外誰もいない無駄に広い家、ご飯は私の分だけ。話し相手もおらず正直寂しかった。
でも今日はザンザスがいる。あぁ久々に朝から話が出来るわ。




「おはよう。よく眠れたかしら?」

「…………」






そうね、まず挨拶を教えなくては。ザンザスは挨拶を無視してすぐ洗面所に向かってしまった。
一体どんな教育をしているのだろう。親の顔が見てみたいわ。



「私の家の朝ご飯はご飯と味噌汁だけど食べられる?」

「問題無い」

「そう、良かった」


二人は向かい合わせに机を囲んでの食事。食べてる間はお互い無言で私はテレビをつけてニュースを見る。




「……日本なんだな」

「えぇ、ここは日本よ。そうよねザンザスはイタリアに居たんだもんね。ホントどうしてここに来たのかしら?」


ニュースをザンザスも見ていたらしく小さな声で確認するように呟いたのを、私は味噌汁を飲みながらだが聞き逃さなかった。


あぁ今日も味噌汁は美味しい。




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