SKY・world | ナノ
プロローグ
SKY・World―空の国。

地球上で最も高い大気、超高層大気と呼ばれる場所にこの国は存在している。

誰が何のために作ったのか、何のために存在しているのか…SKY・Worldには未だ解明されていない謎がほとんどだ。

SKY・Worldに集められ戦士として育てられた少年、少女達はある些細なことをきっかけに自分達の住んでいるこの場所に違和感を持ち始めた。

やがて、それはSKY・Worldの謎を解き明かす鍵へと発展していく――


SKY・World―俺達の居るこの世界は地上から約九十キロ離れている空に浮いている。
地上からSKY・Worldまで遠く離れている事から、別名「天上の城」とも呼ばれているらしい。しかし、俺達にとって少なくともこの場所は、『城』なんていう生易しいものでは無いはずだ。
俺の名前はアレン、今年で十六という年を与えられる予定だ。

SKY・Worldで『牙』という班の隊長を任せられていて、皆から俺が金髪名だけで「金色の狙撃手」と異名をつけられた。

俺は物心がつく前からこのSKY・Worldにいるらしい。誰かがそう、言っていた。
俺だけではない、ここに…SKY・Worldで生きている子供たちは皆、そう。
全世界の政府が三十年前に始めた『強制一人っ子政策』。

この世に必要ないと判断された次男や次女の俺達はSKY・Worldに連れてこられた。
毎年、十人か二十人の子供がここに集められて、四人のグループに分けられる。

そのグループを一つの班とし、この先二十年間ずっと共に過ごすことになる。SKY・Worldの中にある戦闘専門学校では銃などの扱い方や剣術、一般に二十歳になるまでの基礎知識と英語、中国語等の約三十カ国の言語を学ぶ。ちなみにこの学校では、武闘派クラスと頭脳派クラスの二クラスがあり、俺は武闘派クラスに所属している。

そして、二十歳になったら地上に降りて自分達の母国に戻り自衛隊員、又は兵隊として一生を終える。

それが俺達の人として生きる道だと大人から教わってきた。
俺は十六年間、生きるという事はそういう事だと受け入れてきた。
何をしても変わらない、何をやっても変われない決められた道。

しかし、最近その考えが一変するようなことが起きた。
あいつが、俺に言ったあの言葉によって…

――賽は投げられた―――

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