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Two

『あぁ、コンピューターがバグった勢いで巻き込まれたみたいだな。どうしよっか・・・。』


と言いながら、さっき裂いた小型ディセプティコンの分解を始めた。あまりにも的確に分解を進めるものだから、辺りは騒然としている。なんだこいつ、面白いじゃない。と呟いていたらあっ、と言う間に全てのパーツが綺麗に並べられていた。


「あ、エリア、そのグリッドでは何の仕事やっていた?」
表向きは医者よ、戦闘用プログラムの修理とライトサイクル・ゲームの負傷者の手当て。』
「え、じゃあ他に何かやってたって事か?」
『・・・元処刑員。ライトサイクル・ゲームで死ななかった罪人を私が無理矢理殺すの。今は戦闘員だけど。』


しん、と静まり返る格納庫。分解していく彼女の手は、雪のように美しいが、これ以前、それが血に染まっていたとは考えがたい。


『確かにアタシが作られた世界に戻りたいわ。けれど、クルーに支配された世界はもう散々。彼は完璧を追い求めてる。』


ピタリ、と作業していた手が止まる。儚げなスカイブルーの瞳は何を意味するのだろうか。焦点が合わず、どこかをぼんやりと見つめていた。


『・・・完璧な世界なんか、ちっとも面白くない。って、プログラムごときが言ってもいいのかしら。』
「いいと、思うけどな。」


口を開いたのはサイドスワイプだった。格納庫にいた全員が振り返る。エリアも目を見開いている。


『ちょ、軽いジョークだったのに。』
「確かに、アンタはコンピューターの中の世界の住人だ。電子で組み立てられた只の無機物だ、けど。」


ガシャン、と音を立てて、エリアに近付く。こうしてみると、プログラムには見えないほど、顔が整っている。サムがいう、美人とはこの事だろう。


「アンタがプログラムと言おうとも俺達にしちゃ、アンタは人間なんだ。それでいいじゃないか。アンタが人間の身体をしている以上、人間って周りは認識されちまうしさ。」
『・・・あんた、いい奴だね。惚れ直したわ。』
「え、あ、ちょ・・・っ」


にこり、と微笑んだ顔に彼のスパークはどくり、と高鳴った。そして彼女は慣れたてつきで分解したディセプティコンを組み立てた。


『・・・あのはぐれプログラムはちゃんと、元の世界に戻れたの。―――元同僚とね。』
「同僚?」
『同僚は、今このユーザーの世界で生きているの。ちゃんと感情を持ってね。』


キュイン――と、音を立てて彼女の手の中の物が動き出して、アイセンサーが開く。それは蝶のようなモノで、彼女の瞳や、サイドスワイプたちのアイセンサーのような、スカイブルーだ。つまり、オートボット。


『一応お仲間ね。スワイプ』
「すげぇ、ディセプティコンからオートボット造れるのか。」
『ふふ、こんなのチョロいわよ。・・・所でレノックス。お願いがあるのよ。』


急に真剣になったエリアの瞳を見て、レノックスはゴクリと唾を呑んだ。あれ、これって面倒事が起こるんじゃないか。と思いながら。







『何でもするわ。だから戻れるまで匿ってくれないかしら。』









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