◆小噺置き場◆


わがままおおかみと、きばをむくひつじ(童柾)
2014/01/19 20:04





「愛してんぜ柾木」
ふいに童門が、その大柄な体躯で後ろから柾木を抱きしめた。そのまま後ろに引き寄せられ、畳に座りこんでいてもバランスを崩しかけてしまう。
ぽすんと肩に置かれた顔からかけられた息が耳をくすぐり、ぶるっと背を震わせた柾木は、囁かれた内容に目を白黒させながらもがいた。
「は…? は?! え、ど、童門、さん。ちょっと、いきなり何…」
「ンなすっとんきょうな顔すんなバカ。言いたくなっちまったんだから仕方ねぇだろ。…ああ、ったく照れてんじゃねぇよこっちだって死ぬほど恥ずかしいんだ。こんなこと18の身空で…いや、一生かかっても言うことねぇと思ってたのによお、それが……はは、オメー首まで真っ赤じゃねぇか」
「っ…! あ、アンタこそ耳まで赤…ってぇ!!」
「フン」
「大人げねーな…!」
柾木ははたかれた後頭部をさすりながら唇を尖らせた。しかしその唇もすぐに緩んでしまったため、口元が手で覆われる。
「おらテメー、隠すんじゃねーよ」
「はがすなよバカ!」
「うるせぇ、可愛いんだよ見せろ。嬉しくってニコニコしてる顔を見せろオラァ!」
「うっぜぇええ!!」
手を引き剥がそうとする童門に押し倒されるように組みつかれた柾木もすかさず応戦し、足で腹の辺りをげしげしやるが、容易く抑え込まれてしまう。
「ンだそりゃあ、ねこキックか? 爪立ててみろ」
「黙れ、ライオンに抑え込まれてる方の身にもなりやがれ!」
一見軽いケンカにすら見えるじゃれあいだが、二人とも笑顔だし、合間に互いの顔やら首やらにキスしたり噛みついたりと、なんとも仲睦まじかった。彼らの「これ」は普通のカップルで言う「いちゃつき」の一環なのである。
10分くらいそんなことをしていたらさすがに疲れた。
上になったり下になったり、ごろごろとくんずほぐれつしていた二人だったが、最終的に大の字になった童門の上に柾木がかぶさる体勢に落ち着いた。
「はぁ…はぁっ、マウント、とったぜ」
「ばぁか、とらせてやったんだよ。騎乗位好きだから、おまえが」
「好きなのはアンタだろ?! …っあ、ッ乳首つねんなよっ…」
からかう手つきで身体の敏感な部分を弄ってくる童門の手から逃げようと、柾木は身を捩る。しかし不敵に笑う童門の目には彼の動きなどお見通しであり、それを証明するように容易く抱きこまれて終わってしまった。
しかし所詮じゃれあいの延長。機嫌のいい顔の柾木は、盛り上がった胸筋あたりに埋めていた顔を体ごとずらすと、伸びあがって童門の顎を甘噛みした。
「…俺も、好きッス、よ」
「マジかよ」
「勝手にケツを揉んだり撫でたりしなけりゃもっと好きだけどな」
「いいじゃねえか」
「よくねぇよ」
素知らぬ顔、涼しい声で、童門の手は止まない。我が物顔で柾木の尻を揉み続ける童門に、金髪の青年は秀麗な眉尾を諦めたように下げた。
「エロ親父な童門さん」
「あ?」
「好き、デス」
「言葉はいい言葉は、キスしろ」
「ワガママ…」

唇くらい頬を色づかせた柾木ははにかんだまま、童門に顔を寄せた。






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あっめぇ(´ω`;)



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