じゅうにがつだ!
2011/12/04 22:51
早いものですね。
こんばんはるのです。
なんか忙しいのか暇なのかよくわからないここ数日(゜ω゜)
あっでも最近荒川を読み返したりしたら、自分の中の萌えメーターがピーク時程ではないなと思いつつ、リクうううううう!!!!ってなりました。なんなんでしょうね(知るか)
以下またしても小話です。
スーツは男の戦闘服だ。
そんな紳士服のキャッチコピーをうっすら覚えている。ような、いないような。
俺はスーツにこだわりがある。イタリアの某ブランドで上下揃えて、同じものを数着購入してある。
見てくれより中身だなんて、一昔前の綺麗事だ。特にビジネスの世界では、外見というものが大きく影響してくる。相手が何を着ているか見る事で、その人物の金銭事情は勿論のこと、趣味傾向や交友関係エトセトラ、つまり内面を透かし見ることが出来る。
社長として様々な人物と交流を持つと、特にそれが重要になる。値段が高いだけでちぐはぐなものを着ている人物はビジネスセンスをも疑いたくなるし、逆にそこまで高くなくても、自分に似合ったスーツを着ている人物は、身の丈を心得ていて、信頼出来ると感じる。
そして、その会社の窓口となる人物の印象こそ、その会社に対する印象になりかねない。
そんな風に相手から見られる世界だ。こちらとしても自分の貫かねばならない部分を、スーツで表現しなければならない。
どんな相手にも好印象を持たれるように、清潔さときちんと感は必須だ。なおかつ若さを武器とするためにはフレッシュ感も演出する必要がある。まぁ店員の受け売りな部分も多いけど。
嫌みに見えないように、
でも、媚びたりせず、年上の部下達に下に見られてもいけない。
臨機応変に相手に合わせられる使い勝手の良さと、それでも侮ることは出来ないと思わせる、芯の強さを兼ね備えているような。
そんな人物像であり続ける。
そんな俺を、河童は「リクルート」と命名しやがった。いくつもの会社を立ち上げた俺としては、随分ショックだったけれど、実はどこかしっくりもきた。何もない0からの起業という行為が、就活という0からの自分プロデュースに似ているからだろうか。
でも、そんなの、まるで俺が、
俺の中身が何もないみたいじゃないか。
鏡のようであればいいと、そう思っていた。
相手の欲しがるものを、見せ掛けでもいいから、なんでも持っているように見せればいいと。
実際なんでも持っている、ここにくるまではそう思っていたのに。
「お前ってホント、性格悪いよな」
あと、趣味も。そう言って、星が俺を睨み付けるから、俺も負けじと睨み返した。いや、俺が先に睨んでいたかもしれない。どっちだっていい。
「可愛げもねーし、マジムカつく」
もう本当に、ここにいる奴らは、俺の努力を踏みにじってくれる。俺がどんな思いでこのスーツを選んでいるのか、分かろうともしない。
特に、コイツは。
「…うるさい、」
だから、コイツには敬語なんて使わなくていい。
「ふざけんな、このイカレ天体が」
こんな風に、暴言吐いたって、構いはしない。
「ホント、性格ねじ曲がってんよ」
お前こそ、悪い顔しやがって。そう言ってやると、星は、嬉しそうにニタァっと笑って、俺のネクタイに手を掛けた。
本当にここの連中は皆、俺のスーツなんかお構いなしに俺の中身を覗いてくる。フレッシュだとか好印象だとか、気にするこっちが虚しくなる程の、勢いで。
中でも特に、コイツは。
おい、クソ天体。俺は、無意味な事はしない主義だ。だから、こんなスーツ、
「…早く、脱がせればいいだろ」
俺自身に価値を見出せばいい。有り難みを思い知ればいい。
俺には俺の価値なんか、分かんないから。
包装紙のようにくしゃくしゃにされた俺のスーツが、翌日恨めしそうに俺を見てくるのは、あぁまたクリーニングに出さないとな、と思いつつ、
悪い気がしないから、不思議だ。
お粗末様でした☆
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