01.本気じゃないと知っていた


いつも見る先輩の背中。
この部屋に泊まることはない。

おやすみ、の挨拶もない。
確かに俺は男で、体は丈夫な方だし心配するいわれはないのだけれど、受け身のセックスは疲れるし痛いときだってある。

なんでこんなひどい男が好きなんだろう。
体を許して、思ったよりあたたかい肌に触れ抱き合う。
それだけで絆されてしまった、簡単な俺。
愛の言葉だってない、世間話だってたまにしかしない。

体のいいセックスフレンド。
俺と先輩の関係は友達以下だからセックスフレンドの方が上等な位だろう。


「アキ」


先輩の低くてよく通る声が俺を呼ぶ。


「なに……っ!っあ、や、め、んん」


1度終わったはずのものが、また再開される。
もう疲れたし、寝たい。
でもまた抱いてくれるのが嬉しい。
俺に欲情してくれるのが嬉しい。

先輩の性器は俺のイイ所を完全に把握していて、そこばかりをついてくる。


「あん、あっ、あっ、あっ、せんぱ、そんな、されたら、ああん、……あっ!すぐ、い、くっ、ああっ」


正常位でがんがんとつかれる。肌と肌がぶつかり合う音がぺちぺちと響く。
気持ちが良すぎて、俺はひどい顔をしているだろう。

先輩の目が俺を見ている。
先輩の額から垂れる汗が俺の頬に落ちた。
それを、舐めたいと言ったらこの人はどんな顔をするだろうか。


「気持ちいいか?」


あそこはあんなに硬いのに余裕な声で聞いてくる。
少し、口元が笑っているのが悔しい。


「あ……、っは」

「お前、やってる時だけはかわいいな」

「……っは、な、にそ、れ……」

「アキの表情が崩れるのはみていて、楽しい」

「あっそ…っ、ああ、だ……っもう、あっ……」

「イってもいいぞ」

「ああっ、は、は、は、っ、」


先輩の腰の動きが早くなって、先輩も達しようとしてるのが分かる。
先輩の手が俺の反り返った性器を握り、上下にすられる。

頭が真っ白になる。

「あああっ!!!」

「っ……!!」

先輩は達する寸前に俺の中から出て、腹に精液を出される。
俺のと先輩のものでぐちゃぐちゃに混ざっている。


「すっきりした」


先輩はタオルで自分の体をふき、もう制服を着ている。シャワーは自分の部屋で入るのだろう。
時計を見ると、けっこうな時間がたっていた。


「アキ、じゃあな」

「今から風紀の見回りなんて、風紀委員長がこんなことやってるのにほかの生徒がかわいそう」


先輩は俺の言葉を聞いているのかいないのか、寝室の鏡を確認してさっさと出ていってしまった。

これもいつものこと。
いつも見送る背中。


「次は、いつ来るんだろ」


早く来て欲しい、そう思ってもここに来るのは先輩の気分だから考えてもしょうがない。
約束、なんてしたことない。

俺も立ち上がってシャワーを浴びることにした。

これが俺と先輩の関係。

三年の風紀委員長と一年の一般生徒の俺の関係だ。




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