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 この冬の白さに 原田

「片付けしゅーりょーっ!さ、新年までぐーだらしよっか。」




「お疲れさん。何か飲むか?」




「んーお茶がいい。酔っ払ったら年越しできなさそう。」




今年の汚れは今年のうちに。

なんとか食器洗いを新年に持ち越すことはなさそうだった。




今年の大晦日は左之助くんの部屋で過ごすことになった。

一緒のお鍋をつついて、適当な特番を見てから、近くのお蕎麦屋さんで年越しそばを食べた。




出掛ける時にそのままにしていた食器類を洗い終え、テーブルにつく。

私用に買ったピンクの湯呑みに、いい香りのお茶が注がれた。




「今年もあともうちょっとだね。」




「ああ、お前さんと過ごす一年はあっという間だな。」




「そうだね、でも楽しかったよ。」




目が合えば、ちょっと照れ臭くなって自然と笑い声が零れた。

同時にテレビが今年残された時間を知らせる。残すところ、あと数秒のようだ。

さっきまで芸能人が出揃っていた華やかな様子とは一変、日本らしい映像に切り替わった。




「3」




来年も、左之助の大切な人が私だといいな。




「2」




そしてもっと大切な人になれたらいいな




「1」




あけましておめでとう、この言葉は左之助によって掻き消された。

新年を知らせる音と共に、私に覆い被さる左之助くんの大きな体。

何も抵抗できずにそのまま床にダイブした。




「あ、あけましておめでとう……ご、ざいます……。」




まさかの急展開に、頭の中が目まぐるしく回る。まったくこの人は、新年早々、これか。




「おめでとう、今年もよろしくな。」




間違いなく、今の左之助くんの言葉の語尾には「性的な意味でも」がついたと思う。一体この元気がこの深夜帯にどこから湧き出てくるのだろうか。




「新年早々……ですか?」




「あたりめーだろ。ひめはじめ、って言葉知ってるか?」




「使うの早すぎ!!」




両腕をとられ、あっという間に唇を塞がれた。そのまま呼吸を根こそぎ奪っていくようなキスの嵐をお見舞いされる。




「は、初詣……は?」




「んなの、熱り冷めてからでいいだろ。俺はもう我慢できねぇんだよ。」




この時を待っていたと言わんばかりに、左之助くんが私の肌に触れた。





fin.



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