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 Normal Question.2

いつもはウサギさんみたいに可愛いはじめくんが、この日は違った。
私の家に押しかけてきて早々、靴を脱ぐのもままならないまま、私をその場に押し倒したのだ。

「……は、はじめ……くん?」

床に縫い付けられた手首と一緒に巻き込まれた髪の毛が、痛い。
きりきりと距離を詰められ、鼻と鼻が触れ合うくらいになっても、はじめくんは何も言わなかった。

「ね……痛いよ、はじめくん、ほんとどうしちゃったの……?」

はじめくんのいつもみたいなキレイな瞳が、何故か今日は悲しそうだ。特に悪いことをした記憶はない。だけど何かが、ポーカーフェイスのはじめくんをこれ程まで追い込んでいた。

「何かいけないことしちゃったかな?ねぇ、謝るから……どうしてか、教えて?」

「……今でも、昔付き合った男と繋がっているのか。」

「は………?」

掠れるような声ではじめくんが、そう言った。つまり今、私は浮気を疑われているのだろうか。

「え、ちょっと、そんなことないし!というか何で突然?!」

事実、浮気なんてしていない。
元カレとはきれいさっぱり別れた。恋愛感情がきれても、友情が残るなんてのもない。一年前くらいに大喧嘩して別れて、それ以来まったく会ってもいないのだ。

「突然……どうした、の…?」

そう尋ねれは、はじめくんはバツが悪そうな表情をした。やけに表情豊かなのは、きっと余裕がないってことだ。

「昨晩……偶然にもあんたのSNSのページを見つけた…そしたら、昔の写真に……。」

「えっ!私のページ見たの?!うそでしょ…だめだよ、そこはブラウザバック!!」

「……すまない。」

ここで謝るのが、いかにもはじめくんらしい。
詳しく聞けば、私とはじめくん共通の知り合いのSNSサイトのページを見たかったらしい。そこまではよかったけれど、そのページの下の方にリンクとして私のページが表示されていたのだ。そこから私のページに飛び、そしてアップしていた昔の写真を見てしまったという。もちろん最近ははじめくんとのばっかりだけど、見たくないような昔の思い出もたくさん残っていた。その中にもちろん、例の元カレとのものもある。

「確かにアップしていたら誰かの目に触れるのは仕方ないことだけど……。」

SNSの性質上、いつどこで誰が見ているかは分からない。それを理解した上でやっている。だけどやっぱり、はじめくんに見つかってしまうのは後味が悪い。

「昔の男をを見ていたら、悔しくなった……。だから、つい。すまない、手荒い真似をした。」

「あ、うん。いいよ、私も……ごめんね?」

先ほどまで私の手首をきつく押さえつけていたはじめくんの手は、ゆっくりと掌に重ねられた。丁寧に結ばれた指先に、思わず笑みが零れる。
もう片方の手は私の頬をやんわりと撫でた。ほんのりと温かくなった手が心地よい。

「...それで、はじめくん。」

「なんだ。」

私の浮気騒動もひと段落したことろで、はじめくんは一向にその場から動こうとしない。
冷たい床から逃れようと体を動かせば、それは一瞬にして封殺された。

「あの....離していただけませんでしょうか...。」

「....悪いがそれは聞き入れられない。」

はじめくんの距離が再びぐっと近づいた。
吐息がかかるくらい、そして綺麗な黒髪が私の頬をかすめる。

そしてはじめくんは一言、それでも悔しい、と呟いた。









「俺は…あんたを一生離してやれない…他の誰にも…渡したくはないのだ。」







fin.







はじめ大好きママ様より頂戴しました

「不安そうな顔で、『俺は…あんたを一生離してやれない…他の誰にも…渡したくはない…』と言って、その場で嫉妬の炎メラメラで押し倒されたい(///ω///)♪」

というコメントで書かせていただきました。
はじめんは意外と嫉妬深そうですよねー!まさかの押し倒されているところから始めてしまいましたが、はじめ大好きママ様のご期待に応えられてたこと祈りつつ、ご挨拶とさせていただきます!

ありす






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