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 Colors of christmas 原田

待ちに待った、クリスマス。




底冷えの街に、輝くイルミネーションが暖かな灯りを燈す。

それぞれがそれぞれの大切な人と、その時を過ごしている。




手を繋いでるカップル。

ケーキやチキンを持った家族。

サンタの帽子を被って笑いあってる友達同士。




そんな多くの人々が必ず足を止めるのが、このクリスマスツリーだ。




昔から語り継がれる、願いのクリスマスツリー。

大切な人と願い事をすることでその輝きを一層増すという伝説があるこのツリーは、昔からたくさんの人々を魅了してきた。




ほらここにも、また願い事を掛けようとしている人が…………















「わっー、やっぱりキレイだね、このツリー。」




左之くんと迎えた、何度目かのクリスマス。

いつも色んな所に出掛けるけど、このツリーは必ず見て帰る。




毎年、来年もこのツリーを見れますように……そう願うのだけど、今年はちょっと違う。もう少し左之くんとの未来を信じて、いつもと違うお願い事をするつもりだ。




「お前さんは、何をお願いするんだ?」




「えー、内緒っ!」




一番輝くてっぺんのお星様の下に立って、せーので手を合わせた。




(どうか、左之くんにとって私が安らげる場所でありますように……)




出会って数年、たくさんケンカもしたけどそれ以上に大切な人になった。




もしこの先の人生が、左之くんと交わっているのであれば。

例えその交差点が近い未来にやってきても、それまでは。




左之くんが、前に口走った「平凡でいいから幸せな家庭を築きたい」という夢。

その夢を叶えるお手伝いを、私がさせてもらえないだろうか。




お願い事を終わらせて、大きく息を吐けば、白く天に舞い上がった。

上から下までツリーを見て、そして愛しい彼に微笑んだ。




「俺さ、お前に話しておきたくて。」




「えっ、なに?」




微笑みはすぐに、真剣な表情になった。

一瞬の悪い予感が、鼓動を早くする。










「俺たち……そろそろ家族にならねぇか。」













お前となら、どこまででもやっていけそうなんだ。神妙な顔つきは、すぐにいつもの暖かな笑顔に変わる。







「さ、左之くん……。」




みるみるうちに溢れた涙が目一杯に広がって、彼の顔が見えない。




「泣かねぇで、返事……くれよ。」




そっと左之くんの手が、頬に添えられれば、一粒だけ涙を流した。

伝った涙の跡が、冷たい。




「あのね、左之くん。」




私も同じこと考えていたの。

ただそうなればいいなって。




「お願い事……叶ったかも。」




あなたにとって安らげる場所でありますように。

そうお願いしたの。




「その願いは……。」




左之くんの体が近づく。




「とっくの昔から、叶ってるよ。」




柔らかな唇が、そっと重なった。



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