刀剣乱舞 | ナノ

大和守安定と加州清光とガールズトーク




拝啓、皆々さま。
季節は夏、わたしが審神者になって一年が経とうとしています。色々たいへんなこともありましたが、わたしは元気です。

「ふっふふ〜ん」

本丸は異次元空間に点在するが、本丸の中から見える景色は現代の季節や天候をそのまま反映している。そのため、本日の本丸は天気予報通りの晴天である。照り付ける太陽がまぶしく、いそいそと庇の影に隠れながら縁側を歩く。

ぺちぺちと木の板に足が張りつく感覚もどうしてか嫌じゃない。途中、鬼事最中の前田くんと平野くんがいた。こっそり抜き足で走っている二人がしいと唇に手を当てたので、ひらひらと手を振ってわたしも足を急かした。

「あーーーつーーーい」
「あーーーもーーーーあついあつい五月蠅い、そういうから暑くなるんだよ。京の夏はもっと酷かったじゃん」
「そんなうん百年前のこと覚えてないよ! あーーーーもうイライラする!」

「あーーんみつ!」

聞こえて来た声にひょっこりと居間を除けば、案の定のふたりの姿。ぐったりと畳の上に寝転がる初期刀・加州清光。うちわを扇ぐ大和守安定。二人がきょとんとこちらを見ているのが面白くてクツクツと笑ってしまう。そうしてするすると手に持っていた紙袋を見せると、赤と青の飴玉みたいな瞳が爛々と輝いた。

「やっぱさ、赤でしょ。それで、黒くてカワイイやつ! みわちゃんは俺とおそろね」
「はあ? ただでさえ暑いのに赤とかありえない。青の方が良い。加州清光センスなさすぎ」
「みわちゃんこいつムカつく!!」
「えへへーわたしはねえ、三人でお揃いにしたら一番いいと思うよ」

机に広げた雑誌に頭を寄せて、加州と安定が仲良く喧嘩している。その様子を安定の髪をお団子にしてあげながらにまにま見守る。

「あんちゃんは、女の子みたいな顔だからお団子ヘア似合うね。ボンボンつけよ!この前現世に戻った時にあんちゃんに似合うそうな水玉模様の買ったんだあ」
「えーなにそれ。現世に戻ったのに僕のこと考えてたの? みわってば僕のこと愛し過ぎでしょ」
「あんちゃんかわいいからしょーがない!」
「うんうん僕がかわいいから仕方ないね!」

後ろから手を回せば安定がその手を掴み後ろに凭れてくる。重みに勝てずにずてんと寝転がれば加州が「あー」と声をあげる。

「ほーら、俺のことハブにするからバチがあたったんだ」
「んー? …きよくんのことも好きだよ!大好き!ねっあんちゃん」
「うんうん。みわは加州清光のことも好きだよー。まあ、僕の次の次の次くらいにね」
「調子こくなよ安定ぁ」

手を繋いでニヤニヤしていると加州が青筋を立ててがたりと立ち上がる。安定がわたしを楯にするので「どうどう」と加州を諌めた。仲直りの印に三人でお団子ヘアにして改めて雑誌を囲む。雑誌には色とりどりの水着特集が組まれていた。

「みわちゃんこれ似合うんじゃない? むねの所のフリルちょう可愛いじゃん」
「えーでもそれさ、色気なくない? もっと色気のある…あ、このビキニなんてどう。それでさ、山伏さんとか同田貫からかってやろうよ。絶対に楽しいって」
「それやるならあんちゃんときよくんも一緒だよ。ほら、これなんか男の子着ても違和感ないし、二人とも女顔だし」
「ないわ」
「ないわー」
「え、ひどい…」

back

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -