プロローグ
長い間、ひとり彷徨っていたように思う。
途方もない旅をして、どこまで続いているか検討もつかない道をひたすらに歩いていた。
暗くて寒い場所をずるずると進んで、いつまで私はこのまま歩けばいいのだろうと。それでも足を止めることは無かった。
体をとりまくのは重苦しい液体で、口を開けばゴボゴボと泡が出る。
とてもとても苦しくて、なのに終わりが来る予感は一向にしなかった。
ふと、上を見上げると光が一筋差していた。あまりにも眩しすぎて私は目を細める。
幾重にも折り重なった光の幕は、とても美しい。
どうしたって届かないと分かっていながらも、私はそれを掴もうと手を伸ばす。
……――それが“私”としての最後の記憶だったのかもしれない。