何かが始まる音がした |
『…………』 「…………」 今、応接室にはあたしとヒバリの二人のみ。 あたしは床に正座し、それを見下ろすようにヒバリが腕を組み仁王立ちであたしの前に立っている。彼の顔は不機嫌さMaxだ。もはや黒いオーラが出てるレベルだよこれ。誰か助けてほしい。 こんなことになった発端は今から数時間前のことだ。 *** それはスクアーロとかいう剣士が去って行った後のこと。 バジルは倒れてしまい、マフィア間の抗争(?)にうっかり首を突っ込んだあたしはツナと一緒にスクアーロがいなくなった後に出てきたリボーンから話を聞いていた。 「なんで今頃出てくるんだよ!!どうして助けてくれなかったんだ!?」 「俺は奴に攻撃しちゃいけねー事になってるからな」 「な、何でだよ」 「奴もボンゴレファミリーだからな」 『え、じゃあツナってば同じファミリーの人間から殺されそうになってたのか』 「それってどーいうことだよ!?」 「さーな」 そんな話をしていれば、遠くからサイレンの音が聞こえてきて、全員で逃げることとなった。 『あ、待って。あたしは並中に行くから』 「させねーぞあげは」 リボーンに腕を掴まれた。振りほどこうと抵抗してるのにビクともしないとか赤ん坊のくせにどんだけ馬鹿力。 ディーノさんはバジルを担いで、手配したという廃病院に早く行くよう催促するが、ツナが獄寺と山本の身を案じて渋っていた。 「待ってください!獄寺君と山本が……!」 「あいつらなら心配ねーぞ」 「大丈夫かツナ!…と紅藤!?」 「なんでテメーが」 『巻き込まれたんだよチクショウ』 「というか10代目、いったい何なんスか?奴は?」 獄寺はあたしの言葉を無視して、ツナに話しかける。向こうから聞いてきたくせに無視かコノヤロウ。 「お前らの戦闘レベルじゃ足手まといになるだけだ。とっとと帰っていいぞ」 「リボーン、何てことを…!」 リボーンが獄寺と山本に辛辣な言葉を浴びせる。 今の言葉を相当痛感したのだろう。彼らの表情が強張った。あたしはこの二人がやられたところは見ていないから何とも言えないけれど。 「行くぞ。…あげは、お前もだ」 『…あーもう…わかったよ』 リボーンはツナを引っ張り、あたしはその後をついていく。チラリと見えた獄寺と山本の表情は何かを考えつめているようだった。 「本当はアイツらも感じてるはずだ。あれだけ一方的にコテンパンにされてはらわた煮えくり返ってねーわけがねぇ。ほっとけ」 あたしとツナは顔を見合わせた後、もう見えなくなった二人を想って振り返った。 そして廃業になったという中山外科医院にやってきたあたしたち。そこの一室にバジルは手当てを施され眠っていた。 その周りに集まるあたし、ツナ、リボーン、ディーノさん。 「あの…で…彼、何者なの…?やっぱりボンゴレのマフィアなんですか?」 「いいや、コイツはボンゴレじゃあない。だが一つ確実に言えることは…コイツはお前の味方だってことだ」 「なあ!?どーなってんの?ボンゴレが敵でそうじゃない人が味方って…」 『なんか複雑だねェ…』 あたしは今までの話を聞いて素直にそう感じた。 「つーか別に俺、敵とか味方とかありませんから」 『え、いきなりどうしたのツナ』 「それがなあ、ツナ。そうも言ってらんねえみたいだぞ」 「あのリングが動き出したからな」 深刻そうな表情を浮かべているディーノさんとリボーンだが、いまいちあたしたちにはピンとこない。 てか、リングって…。 prev next |