忘却の彼方 | ナノ


それは白銀の、




『ヒバリー外見た?雪積もってるよ』

「そうみたいだね」

『なのにあたしらはなんで学校にいるんだろうね!』


そう、ここは並中の応接室。こんなに雪が積もっている寒い日にあたしはヒバリに呼び出されたのだった。
……いや、うん。さすがにもう慣れてきたけどね。


『あーあ…せっかく積もってんならかまくら作って温まりたい』

「僕は雪合戦かな」

『え゛、アンタが!?』

「まあ、僕の場合群れてる奴らを標的にして雪玉をぶつけるんだけどね」

『随分一方的な雪合戦だなオイ』


でもコイツなら本当にやりかねないな。


『……ん?』

「どうかしたのかい?」

『いや、なんか外の方騒がしくない?』

「…ふぅん。群れてる奴らがいるのかもね」


そう言ってヒバリはこっちを見た。無言のヒバリだが、あたしにはなんとなくコイツが伝えようとすることがわかってしまった。


『…見て来いってことですねわかります』

「ワオ、さすがあげはだね」

『褒められてもまったくうれしくないんだけど』


寒いから外出たくないのに…。
あたしは制服の上からコートを羽織って、騒がしいグラウンドの方へと赴いた。


***


ドンドンズガガガガチュドーン


『…………』


い、行きたくねェェエエエ!何今の音!?中学校から聞こえる音じゃなかったよ絶対!!
そして決まってこういった騒ぎの中心にいるのは…、


『…やっぱりアンタらか』

「あげは!?なんでここに!?」

『それはこっちのセリフだボケ』


グラウンドの真ん中にいるのはお馴染みのツナ、獄寺、山本。それに一つ先輩の笹川先輩、リボーン、ディーノさん、彼の部下たち、ランボ、イーピン、ビアンキ、それに見たことがない男の子。
また随分と大勢で騒いでるな。


「ちょうどいい。お前も雪合戦に参加しろ。ツナのチームな」

『激しく断りたいんだけど』

「紅藤は俺らのチームか!がんばろーぜ!!」

「10代目の足手まといにだけはなるんじゃねーぞ!」

「極限に気合いだー!!」

「あげはといえど容赦はしないぜ!」

『…ねえ、なんで誰一人あたしの話を聞かないの』

「………なんか、ゴメン」


上から山本、獄寺、笹川先輩、ディーノさん。誰の耳にもあたしの言葉は届かなかったようだ。
そしてツナからの憐みの言葉。おかしいな、目の前が霞んできた。


「お姉さんが紅藤あげはさん?」

『そうだけど…どちら様?』

「僕はランキング星のフゥ太だよ!あげは姉って呼んでもいい?」

『(ランキング…?)ああ、うん。好きに呼んでくれて構わないよ。よろしくフゥ太』


そう言ったらフゥ太は嬉しそうに微笑んだ。何この子カワイイ。


「それじゃあ始めるぞ。だがレオンを奪い合うのは今まで通りだが、今回は捕まえた時点で勝ちだからな」


リボーンの中にいたカメレオン(?)のレオンはターボのような形に変形した。
……ん?変形?


『何あの生き物……』

「アハハ……」


ツナが隣で苦笑を浮かべていた。
こうして雪合戦第二ラウンド(あたしにとっては第一ラウンド)がスタートしたのだった。



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