忘却の彼方 | ナノ


桜色に思いを馳せて




あたしはその声が聞こえた方を振り返る。そこにいたのは酒瓶を持った男。
確かうちの学校の保険医で、名前は…


「Dr.シャマル!」

『ああ、そうそう。シャマル』

「まだいやがったのか!!このやぶ医者!変態!スケコマシ!」

『獄寺はまた随分と嫌ってるね…』

「俺が呼んだんだ」


シャマルと一緒に現れたのは花咲じいさんらしきコスプレをしているリボーン。
なんだかまたややこしいことに…。


「赤ん坊、会えて嬉しいよ」

「俺達も花見がしてーんだ。どーだヒバリ、花見の場所をかけてツナが勝負すると言ってるぞ」

『え、ツナってばチャレンジャー』

「な、なんで俺の名前出してんだよー!!」


ああ、なんだ。リボーンが勝手にツナの名前を使ったのか。ドンマイ!
しかし青ざめるツナとは対照的にヒバリは意外と乗り気なようで。


「ゲーム…いいよ、どーせ皆つぶすつもりだったしね。じゃあ君達3人とそれぞれサシで勝負しよう。お互い膝をついたら負けだ」

「ええ!それってケンカ!?」

「やりましょう10代目!いや、やらせてください!!」

「一応ルールあるし、花見してーしな」

『、おお…。やる気だねアンタら』

「心配すんな。その為に医者も呼んである」

「あの人女しか診ないだろ!!」


ツナたちがもめているのに気を取られて、あたしは背後から近づいて来る男に気が付いていなかった。


「なんだよーカワイ子ちゃんいるじゃねーか〜」

『へ、』

「!」

「「「んなっ!?」」」


シャマルに抱きつかれているあたし。ツナたちはもちろん、ヒバリでさえも驚いたようにこちらを見ていた。
ていうかさあ…、


『何抱きついてんだテメェェエエ!!』

「消えろ」

「のへ―――!!」


あたしは回し蹴りをシャマルに一発、ヒバリはトンファーでシャマルを殴った。その時、なんだか嫌な感じがした。周りを見渡しても特におかしいことは何もないみたいだけど…。
…あ、医者がいなくなったわ。


「10代目、俺が最高の花見場所をゲットしてみせますよ!」


一騒動あったものの、勝負の一番手は獄寺らしい。
先手を取った獄寺をヒバリは殴ろうとするが、獄寺はそれを避ける。あの動きはいいね。それにヒバリの足元には…。


「新技、ボムスプレッズ!果てな」


獄寺の仕掛けたダイナマイトが一斉に爆発する。一瞬勝負がついたかのように見えたが、さすがは最強の風紀委員長とでも言うのだろうか。


「で…?続きはないの?」

「なっ!トンファーで爆風を!?」


ヒバリはトンファーを使って、爆風による攻撃を防いでいた。


「二度と花見できなくしてあげよう」


そう言ったヒバリは獄寺を攻撃する。獄寺はそれを避けることはできたが、その時点で膝をついてしまった。


「獄寺はヒザをついた。ストップだ」

「やだよ」


リボーンの制止を聞かないヒバリはそのまま獄寺に向かってトンファーを振りかざすが、


「次、俺な」


山本の刀によってそれは防がれた。


「山本のバットー!?」

『え、何そのネーミングセンス。……それより、山本。刀使うんだね』

「気になるか?」

『………さあ?どうだろうね』


リボーンの問いを笑ってごまかす。山本が刀を使うことに興味を持ったのは事実だが、別にそれをどうこう言うつもりはない。



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