「花見するぜよ!!」

『「「「は?」」」』


いきなり部屋には行って来るなりそう言った坂本。あげは、銀時、桂、高杉の四人はそんな彼を訝しげに見つめた。
数秒の後、一番最初に口を開いたのは桂だった。


「何を言い出すんだ坂本。今は戦時中。そんなことをしている暇はない」

「第一、花見しようにも酒は一昨日の晩に無くなっちまったじゃねェか」

「甘味もねーし」

『何より面倒くさい』


桂に続き、文句を言う三人に坂本はなんじゃ、つれないのう、と口を尖らした。
そしてぽつりと一言。


「せっかく故郷から仕送りをたくさんもろーてきたというのに…。残念じゃ」

『「「………」」』


約三名が立ち上がったのは言うまでもない。

――――…


『夜桜ってのもいいもんだねー』


最後まで渋っていた桂を説得に成功したあげはたちは、桜を見ながら酒を飲んでいた。あげはたちだけではなく、ほかの志士たちも飲んだり、騒いだり。
久しぶりの穏やかな時間にあげはは自然と頬が緩むのを感じていた。


「なーに一人でにやにやしてんだよあげは」


辺りを見渡していたあげはの肩に手をおいたのは銀時だ。
彼の頬はすでにほんのりと赤くなっている。


『……別に。ただ相変わらずダブルもじゃもじゃは酒に弱いなって思ってただけ』

「何、喧嘩売ってんのかコノヤロー。あの馬鹿と一緒にすんじゃねーよ!!」

「金時ー馬鹿とはひどいぜよ」

「銀な、銀」


いつの間に来たのか銀時の隣には酒瓶を持った坂本がいた。銀時と同じく坂本の頬も赤に染まっていた。
こいつら二日酔い決定だな。
あげはは二人を見てそう思った。


「…で、ホントは何考えてたんだよ」


先程まで坂本と言い合っていた紅い眼があげはに向けられる。
その話は終わったものだと思っていた彼女は不意を突かれたように目を丸くした。
坂本もなんじゃなんじゃ、と二人の方に興味を示しているようだ。


『…だからーただ、ダブルもじゃもじゃ馬鹿共は酒に弱いなって…、』

「オイ、さっきよりひどくなってんぞ」


銀時は頭をかいてため息を吐いた。
―――お前が何か考えてることくらいわかるっての。

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