沢田家、昼ごろ。


「起きやがれっ」

「ごふっ!」


今日は土曜日。学校が休みのため寝ていた銀時は腹に来た衝撃で目を覚ました。
もちろんその原因は言わずもがなリボーンだ。


「お前朝っぱらから何してんのォォォ!?銀さん殺す気!?」

「もう11時だぞ、坂田。それと高杉もたった今起きたところだ」


銀時はリボーンの視線の先を見ると、自分と同じように腹を抱えてリボーンを睨みつける高杉の姿が。
ああ、コイツも同じ目にあったのか。


「ったくよォ……。こんな無茶苦茶な起こし方しやがって……。俺らに何かあんの?」

「ああ、あげはのことでな」


彼女の名を聞いた銀時と高杉は一瞬で瞳を鋭くさせた。
二人の変わりようと微かに感じる殺気にリボーンは口角を上げながら、書類と写真を取り出した。


「見ろ」

「?何だコレ?」

「……雰囲気からして堅気じゃねェな」


高杉の言葉にリボーンは頷いた。


「コイツらは梨汁組って奴らだ」

「今どこぞの非公認キャラクター思い出した」

「何、高杉。お前もあの梨の妖精のこと知ってんの!?超意外なんですけど!?」

「……だがなんとなくわかったぜ。コイツら大したことねェな?」

「無視?」


銀時と高杉はリボーンを差し置いて、二人で盛り上がっている。
リボーンは敢えてそのことには触れず、話を進めた。


「それで、コイツらのことだが……。どうやら今、あげはを狙っているらしいんだ」

「アイツを?」

「なんでも梨汁組の奴がナンパしてるところにあげはがやってきて、倒しちまったらしいぞ」

「あー……アイツ女尊男卑だからな、基本」

「あげはに倒されるような奴らに俺らがわざわざ手を出さずともいいだろうが」


そうもいかねーんだ。
リボーンは至極真剣な表情で言った。


「コイツらは組全体の統率力がすげーってことで有名なんだ。つまり、」

「仲間がやられりゃ、組総出で落とし前つけるってか」

「そうだぞ」


やっかいだな、と銀時はごちた。
たしかあげはは今日笹川と三浦とケーキバイキングに行くと大層楽しみにしていた。それはもう、自分たちが何か言っても殴りかかってこないくらいに。


「で、どうするんだ?銀時ィ?」

「ん。俺たちでやるしかねーよな」


アイツがこんなふうに子供らしく、女らしくいられるのはきっと今だけだ。
普通の奴らが普通に暮らしている時に、俺たちは、アイツは、戦場で過ごしてきた。だからここにいる間だけでも。せめて。


「なあ、リボーン。今からのことはアイツに言うなよ?」


銀時は木刀を手に、ヘラリと笑ってみせた。


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