日本、並盛町――…
「ここだな」
地図を見ていた小太郎が一軒の家の前で立ち止まった。
あたしはその言葉で9代目が用意してくれた家、元い今日からあたしたちが住む家を見た。
…とりあえず言うべきことは、
『でかっ!』
そう、9代目が用意してくれた家はあたしたち五人で住むには十分な一軒家だった。
『てっきりマンションかと思ってたんだけどな』
「つーかこの新築が出来上がってる時点で俺達の日本行きは決定的だったつーことじゃねェか…」
『確かに』
晋助の言葉に頷く。
まあ、こうなってしまった以上素直に護衛をやるしかないってか。
「とりあえず立っててもしょうがねーし。入ろーぜ」
「そうだな」
真っ先に玄関を開ける銀時。それに続く小太郎。あたしたちも二人に続いた。
***
外見通りこの家は中も広くて、一人一部屋は余裕であった。それぞれの荷物を整理してリビングに集まる。
「さて、これからどうするかだが…」
「宴会するぜよ!!」
「宴会なんぞするか!明日から俺達も中学生なのだぞ!!」
小太郎の言う通り、あたしたちは10代目が通っている並盛中学に明日から転入することになっている。
『そーいえば、この世界に生まれてから学校って初めてだなー…』
「実際に俺ら学校通う年齢でもねーしな」
あたしたち実年齢はもっと上だしね。いい年したあたしたちが制服着て学校行くって何プレイって話だ。
「…と、そうだった」
小太郎が思い出したように呟く。
「何じゃヅラ?」
「ヅラじゃない桂だ。さっき冷蔵庫を覗いてみたのだが、さすがに何も入ってなくてな。あげは、買いに行ってくれないか?」
『了解。銀時ーついてきてー』
「おー」
「俺も行く」
「じゃあわしも!」
「ちょっと待て」
小太郎を除くあたしたち四人がリビングを出ようとした時、小太郎からストップの声がかかった。
「こっちの片づけもまだ終わってないんだぞ!?全員でいってどうする!!」
「ヅラが残るんだろォが」
「ヅラじゃない桂だ!誰が一人で残るか!!寂しいだろう!!」
『そーゆー問題!?大の大人が一人で留守番寂しいとか言ってんな!!』
「とりあえず誰かもう一人残れ!」
必死な小太郎に銀時が、仕方ねーな…、と呟いて片手を前に出す。そしてニヤリと笑った。
負けた奴が残るってことで。
『「「「じゃーんけーん……ポン!」」」』
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