不完全リジェクション | ナノ



――ツナside――


「今日は転校生を紹介する」


先生は入って来るなりそう言った。
このクラスに転校生…?しかも四人って……。まさかマフィア関係だったりとかしないよね……。

クラスの皆はイケメンかなとか美人かなとか騒いでる。
一方俺は普通の人たちでありますようにとだけ願っていた。


「それじゃあ入って来い」


先生が言うと皆ドアの方に視線を向ける。
しかし転校生は一向に入ってくる気配がなかった。ただドアの向こう側が少し騒がしいだけだ。


「何やってんだあいつら…」


先生が痺れを切らしてドアを開けた。

ドタドタドタッ
途端になだれ込んできた四人の男女。
今まで騒がしかった教室も彼らも静かになった。


「桂小太郎だ。よろしく頼む」

『お前がしゃべんのかよ!!』


静かだった教室に響く自己紹介とツッコみの声。
この雰囲気で自己紹介をした彼にもそれにツッコんだ彼女にも、俺達は唖然として見ていた。

ていうか、あれ……?あの女の子は…。


「仕方ねー。ヅラに続くぞ。坂田銀時でーす」

「チッ…高杉晋助」

『結局あんたらもすんのかよ。…えー紅藤あげは。よろしく』


次々に名前を言って行く転校生たち。
中でもあの紅藤あげはと名乗った子。あの子は昨日俺をカツアゲから助けてくれた子だった。

彼女が紹介を終えた時点で再びクラスに騒がしさが戻って来た。


「うわ、皆イケメン!ヤバくない!?」

「うんうん!これはファンクラブ決定だよね!!」


そんな声も聞こえてくる。ちらりと横を見れば、
ああ!京子ちゃんも心なしか笑顔に……!!


「あいつらなんか怪しくないッスか?10代目」


京子ちゃんの方を見ていたら、いつの間にか隣に獄寺君が来ていた。


「あ、怪しいって…?」

「だってこの時期に四人も転校生ッスよ!?おかしくねーッスか!?」


あ、10代目に手ェ出すようなら俺が容赦なく潰すんで安心してくださいね!!
その言葉に余計安心できなくなった。

獄寺君と話しているうちに、彼女たちは先生に言われた席にそれぞれついていた。と言っても四人だからか並んで一番後ろの席だけれど。


「一限目は転校生が来たから自習な。仲良くやれよ」


先生はそう言い残して出ていった。


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