――あげはsideーー
「一限目は転校生が来たから自習な。仲良くやれよ」
先生がそう言って出ていった後、銀時たち三人の周りには人だかり(主に女子)ができていた。
そんな様子を横目にあたしは自分の席を立って、沢田綱吉の所まで行く。
『よ、昨日ぶりだね少年』
あたしの方から話しかけたからか彼、沢田綱吉は驚いていた。その横にはこっちにガン飛ばしてくる男と人のよさそうな笑みを浮かべた男がいた。
…ああ、確か嵐と雨の守護者の。
「え、えと…うん。昨日は本当ありがとう」
『いーってことよ。あ、あたしのことはあげはでいいから。』
「わかった。俺は沢田綱吉。ツナでいいよ。……えーっと、こっちは獄寺君と山本」
「ケッ…」
「よろしくな紅藤」
『よろしく(まあ、名前知ってるけどね)』
そうしてあたしたちはしばらく四人で話していた。
…そう、あいつらに巻き込まれるまでは。
「ねえ、坂田君たちってさ彼女いるの?」
あいつらのいる方向からそんな声が聞こえてくる。
彼女、か……。あいつらは、銀時は何て言うんだろうか。
あたしは自然とあいつらの声に耳を傾けていた。
「あー……、」
銀時が頭をかく。小太郎も晋助も考えているようだ。
そこでふと、三人と目が合った。
…………え?
「「「あげは」」」
………………。
!?
今何て言ったこいつら。
一気に教室中の視線がこっちに注がれる。
え、え、え?何コレ?何この状況!?
てゆーか、
『何言っちゃってんだテメェらァァァアアア!!』
あたしは銀時のとこまで行くと、その天パの頭をガッと掴んだ。
『何言ってんの。ねえ、何言ってんの!?』
そうすると声をそろえて言う三人。
「「「あー…悪ィ(すまん)。いつもの癖で…」」」
『いつも!?あんたらいつもあたしを理由に告白とか断ってんの!?どうりで昔っから近所の女の子たちに鋭い視線浴びせられるわけだよ!!』
ああ、もう。ここに来て知りたくなかった事実が明らかに……。
あたしの三股疑惑が晴れるのはこの数分後のこと。
prev / next