自己紹介にも一苦労


あたしは若干の不安を胸に抱えたまま、新選組側の自己紹介が始まった。
初めに土方さん、総司、左之さん………と自己紹介が進んで行くたびに眉間のしわが深くなっていく晋助。


「土方に、沖田……他にも知った名前があるが。これぁどういうことだ、あげは」


不機嫌さを隠そうともしないでこっちを睨むのはやめてほしい。


『…一言で言うと"しんせんぐみ"であって真選組じゃないけど新選組だよ、的な』

「それ言葉だけだとまったく伝わらんぞ」

「……余計ややこしくなりやがった」


「あげはや桂さん曰はく、向こうの真選組とやっていることは変わらないらしいぜ?」


見かねた左之さんが晋助に言った。それに納得したように頷く晋助。ホントに納得してんのかは別として。


「とにかくここにいる以上、下手なマネはするなよ」


土方さんが釘を刺すように言った。
あれれ、視線があたしの方に向いてるよ?おかしくない?ねえ、おかしくない!?
何故か土方さんと目が合ってるあたし。自分でも冷や汗が噴き出てるのがわかった。
そんなあたしの様子に目もくれず、晋助はクツクツと笑った。


「ククッ、そりゃ保障できねェな」

「…ふーん。それならここで斬っちゃおうか」

「……ほォ」


お互い刀を持ち、笑う晋助と総司。


『ちょっ、総司!?』

「高杉!!貴様もやめんか!!」

「止めないでよ、あげはちゃん」

「うるせェよ、ヅラ」

「ヅラじゃない桂だ!!」


「なあ、桂さんが加わって状況が悪化しそうなんだけど」

『……もう好きにしたらいい』


二人と同じように刀を手にした小太郎と永倉さんの言葉にため息を吐いた。


「あの…、」


!この癒されるようなキューティーボイスは…


『千鶴!!』


振り返ると、そこには戸惑った顔をしている千鶴が立っていた。


「そーいや、千鶴どこ行ってたんだ?」

「うん、土方さんに開いてる部屋と使える布団を捜してこいって言われて」


平助と千鶴の会話を聞いて、土方さんはちゃんと晋助のことも認めてくれてるんだとわかって嬉しくなった。


『土方さん、』

「なんだ?」

『ありがとっ』

「っ!ま、まあお前の知り合いだって言うからな…」


おお、土方さんが照れていらっしゃる。
赤くなった顔を片手で隠すようにしている土方さん。新鮮だなー、とか思ってじっと見てたら頭をはたかれた。


「で、どうだった千鶴」


話を切り替えるように千鶴に話しかける土方さん。彼の言葉に千鶴は顔を曇らせた。


 



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