目が合っても伝わるとは限らない


『そ、総司?』

「何やってんのあげはちゃん。君の相手は僕なんだよ?」

『ああ、ソウデスネ。夢だと思いたい…って何!?ちょっ、引きずんなァァァアア!!』


あたしは総司に引きずられ、試合をする場所まで連れてこられた。
そこには幹部を含め、顔も知らない隊士たちが試合は今か今かと待ち構えていた。
…え、ここでやるの?完璧に恥さらしだよ!!

あたしは助けを求めるべく辺りを見渡す。
そこで一君と目が合った。


『は、一君!!』

「あげは…お前の言いたいことはよくわかる。俺もお前と手合わせしたかった」


そうじゃないだろ。
あいつまだ諦めてなかったよ!!
もういい、次!
今度は小太郎と目が合う。


『こ、小太郎!!』

「あげは…お前の言いたいことはよくわかった。心配するな、骨は拾ってやろう」


そうじゃないだろ。
なんで死ぬ前提なんだよ!!
もういい、次!
今度は千鶴と目が合った。


『ち、千鶴!!』

「あげはさん…頑張ってくださいね!!」


そうじゃないだろ。
でも可愛いから許す!!
とにかく、次!
今度は土方さんと目が合った。


『ひ、土方さん!!』

「あげは…そんなに早く始めてーのか?」


なんでそうなるんだよォォォオオ!!
あたしの抵抗は空しく終わった。

構え!、という土方さんの合図であたしたちは刀を構える。
ああ、やるしかないのか…。

始めっ!
その言葉を皮切りにあたしたちは同時に走り出した。



(なあなあ、桂さんはどっちが勝つと思う?俺総司に一票)

(俺はあげはだな。永倉殿はどうだ?)

(俺は総司かな。左之は?)

(俺も新八と同じだな。男と女ってのもあるしな)

(呑気でいいなあんたらよォォォ!!)


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