この気まぐれな付き合いは、意外にも切れることがなかった。
月に一、二度だった食事が三度になり、半年が経とうとする頃には、彼の名前を躊躇いなく呼べるようになっていた。

「こんばんは」

「こんばんは」

「ラーメン食いたい」

「行きましょうか」

改札を出ると、龍之介が立っていた。
自然に並んで歩き出す。
周りのカップルを見ていると、私たちもそんな関係に見えているのかなと思う。
いや、釣り合わないか。
タイプが違いすぎる。

「ごめん、一本だけ吸っていい?」

「どうぞ」

ラーメン屋に入って注文を終えると、珍しく彼が煙草を取り出した。
喫煙者だとは知っていたが、私の前で吸うことはほとんどない。

「お疲れですか」

「んー」

彼は顔を背けて煙を吐き出す。

「クラスのアホどもがやらかして、生徒指導」

「やらかして?」

「コレと酒。やるならバレないようにしろっての」

龍之介は指先で煙草をひらひらさせて、教師らしからぬことを言った。
思わず苦笑する。

どの時代にも問題児はいるものだ。
私が学生のときにも、校内で喫煙している生徒はいた。
定番の校舎裏。
私の昼休みの居場所だった。
なぜか一緒に過ごした不良生徒は、いつも煙草を吸っていた。

「いざ教師になったら、高校時代の自分もぶっ飛ばしたくなるな」

「悪い子だったんですか」

「酒と煙草だけ」

その俺が生徒指導なんかしてるんだから笑えるよな、と龍之介は自嘲気味に言った。
吐き出された煙の匂いにくらりとする。

懐かしい。

懐かしい?

「あまり無理しないでくださいね」

「おーさんきゅー」

ふいに湧き上がってきた感情に首を傾げながらも、龍之介を労わる言葉を掛ける。
彼は疲労の濃い顔をこちらに向けて、低い声でそう答えた。
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