てくてくと知らない道を歩きながら、ミレイユは疲労の溜息をついた。

家出すると言っても近場であればすぐに見つかると思ったので、神殿へ出かけると言ったヴィムにこれ幸いとついていった。
庭園をうろうろしながら、どこから出ようかと困っていたら、ちょうど出ていく荷馬車が見えたのでこっそり乗り込んだ。
しばらく馬が走った後、休憩に止まったところで降り立った場所は、当然知らない土地。
山沿いの田舎町だ。

貴族の屋敷にいるようなドレスでは目立つだろうと、あらかじめ地味な色の服を着ておいて正解だった。
さらに持ってきた渋色の大きな布を頭からすっぽりと身体に巻き付け、そそくさと荷馬車を離れて山のほうへ向かう。

とりあえず今は姿を隠して、馬車が行ったところで街へ戻ることにする。
お金はいくらか持ってきたし、何日かは宿に泊まって仕事を探したい。

川を渡り、畑や雑木林を抜けて山へと入る。
ドレスの裾や手に持った荷物が邪魔をしたが、ミレイユはなんとか人の通った跡を見つけて斜面を上がる。
薄暗くなってきた空や山の中の獣の気配を不安に思いながら、ミレイユはできるだけ先程の川を遠くに辿って進んでいった。

ここまで来てしまったのだから、もう引き返せない。
あとは自分で何とかしなければ。

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