朝、目を開いて悲鳴を上げた。

「どうしたミレイユ!」

勢いよくドアが開いて、レイモンが飛び込んでくる。
ベッドの下に落ちていたミレイユは、レイモンと隣に寝ていた男の姿を見比べた。

すやすやとベッドの上で眠っているのは、獣の耳の生えた裸の男。
シーツからはみ出たしっぽがだらりとベッドから垂れ下がっている。

「こいつ……。起きろヴィム!」

がくりと肩を落としたレイモンがつかつかとベッドに寄って来て容赦なくヴィムに蹴りを入れる。
寝起きの悪いヴィムはなかなか目が開けられず、伸ばした手が宙を彷徨う。

「んー……ミレイユ……」

「ミレイユ、じゃない!起きろ!」

レイモンがヴィムの手を叩き落とし、ヴィムはようやく目を開けて不機嫌そうに顔を顰める。

「なんでおまえがここにいるんだよ」

「おまえこそなんでここにいる?人の姿でこの部屋に入るなと言っただろう」

「はあ?」

そう言って目を擦り、その手が人の手であることに気づいてヴィムは首を傾げる。

「おかしいな、眠ったときは人じゃなかったんだけどな」

「おまえ、ミレイユに何もしてないだろうな?大丈夫か、ミレイユ。驚いただろう」

呆然と事の成り行きを見守っていたミレイユを立たせて、レイモンがなだめるように頭を撫でる。

「す、すみません。起きたらこの姿だったので、びっくりして」

「そりゃそうだろう。朝からはた迷惑な奴だな」

「あー……ごめんな、ミレイユ」

そう言いながら、ヴィムは何も身に着けないままベッドから出てこようとする。
再びミレイユの悲鳴が部屋に響く。
同時に、レイモンがヴィムにクッションを投げつけた。

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