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「ヴィム」
獅子の首に腕を巻きつける。
金色の毛に顔を埋める。
慣れた匂いに安心する。
ずっと一緒にいた相手。
これからも、ずっと側にいたい。
「太陽にあたるとほんとうに綺麗ね」
中庭の木陰の下。
木漏れ日にきらきらと輝く毛並みを整えながら、ミレイユは優しくヴィムに話しかける。
「気持ちいい?ヴィム」
ヴィムは小さく鳴いて返事をする。
ミレイユは微笑んで彼の頭を撫で、ぎゅっと抱き着いた。
ただこうして側にいられればいい。
ひなたぼっこでもしながら、穏やかな日々を過ごしていたい。
ぽかぽかと暖かな青空。爽やかな風と葉擦れの音。
一度は捨てようとした幸せの深さに胸が締めつけられて、ミレイユはヴィムの身体に顔を押しつけて目を瞑る。
慰めるように、ヴィムが頭に顔を寄せてくれた。
ずっとこうして私を生かしてくれた、かけがえのない存在。
神様が彼を選んだ理由がわかるなぁと思い、ミレイユは小さく笑みを零した。
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