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ヴィムのもとに戻ってきて、後悔しているかと言われれば、していないとは言えない。
でも、少し気は楽になった。
ヴィムもレイモンも以前にも増して過保護になり、私は邸宅に閉じ込められた状態である。
今までも大事にされていたとはいえ、あんなに心配されるとは思わなかった。
家族と言ってもらえても距離がある。
それが漠然と不安だった。
でも、ようやく彼らの愛情を実感した。
ここにいても迷惑をかけていないのだと、理解した。
「俺を選んだ神なんだから、ミレイユを嫌うわけないだろ?」
ヴィムがミレイユの両手を握って、自信満々に言い切る。
「ミレイユが神に気を遣って出て行くと言うなら、俺は神のほうを追い出す。どんな手を使っても」
真っ直ぐな視線が彼の本気を表していて、ミレイユは気圧されて頷いた。
神を追い出すなんて恐ろしいことを。
しかし、ヴィムならやりかねない。
だが、それすらも彼の中の守護神は、笑って聞いているのかもしれない。
たかが女一人を探すのに姿を現してくれたわけだから、ヴィムが相当気に入られていることは容易に想像がついた。
「また出て行きたくなったときは、俺も連れて行って、ミレイユ」
ヴィムがミレイユの手の甲に唇を寄せる。
ミレイユは困った顔でほんの少し笑って、二度と勝手に出て行くことはしないだろうと確信めいた気持ちを持った。
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