降り始めた雨




少し歩くと露店でホットドッグが売ってるのが目に入った。
「リヴァイさん!あれ、食べたいです!」
「あれか?」
「私、買ってきます!」
「おい!」
私はリヴァイさんに背を向けて露店へと急いだ。

ホットドッグを2つ持ってリヴァイさんの元へと向かう。
「お待たせしました!」
「ったく、勝手に1人でどんどん行くな」
リヴァイさんがため息混じりに言うも、ホットドッグを私から受け取った。
「ごめんなさい、つい久しぶりにホットドッグを見たら食べたくなっちゃいました」
「なまえのいた所はこういう食べ物があったのか?」
「はい!ありました。お昼休みとか買いに行ってよく食べてましたよ」
私は仕事のお昼休みに買いに行って食べることを思い出した。
「そうか…」
リヴァイさんはホットドッグを一口食べた。
「リヴァイさんはホットドッグとか食べたりしないんですか?」
「……食べないな。こういう物はこの辺りでしか売ってない」
「……そうですよね。私もここに来てからホットドッグ初めて見ました」
ホットドッグを見つめて言えば、貴族達のみんなは裕福な暮らしをしているんだなと思った。
私達はいつもパンや芋などしか口にしていない。
「早く食わねぇと冷めるぞ?」
リヴァイさんに言われて"はっ"としてホットドッグを食べ始めた。

食べ終わってからは近くを歩いたり、露店を見て回ったりと本当にデートしている気分だった。
リヴァイさんはどう思っているのだろうか。


リヴァイさんと丘の上へと登る。
「リヴァイさんどこまで行くんですか?」
「もう少しだ…」
しばらく登ると開けた場所に着いた。
「……わぁ、綺麗!!」
その場所は街を一望できる場所だった。
壁の上から見るのと違って街が綺麗に見えた。
更に夕日が綺麗に見える。
「リヴァイさんもこういう場所知ってるんですね!」
「俺をどういう風に見てるんだ?」
「えっと…調査兵団のリヴァイ兵士長様?」
「それは前にも聞いた。前にエルヴィンが俺をここまで連れてきたんだ。ここはエルヴィンのお気に入りの場所らしい」
「…へぇ、エルヴィン団長の…」
私は何故かとても納得した。

「もう夜になるんですね。夕日が綺麗です」
「そうだな。なぁなまえ……悪かった」
「えっ?どうしたんですか?」
私はリヴァイさんの突然の言葉に驚いた。
「なまえがここに来た時、右も左も分からないのに調査兵団に入れなんて言って…。エルヴィンが言い出したことかもしれないが、俺は止めるべきだったんじゃないかって…」
「……何言ってるんですか?私は自分で志願して調査兵団に入ったんです。みんなの運命を少しだけ知ってるからこそ入ったんですよ、助けられる命もあるんじゃないかと思って。…だけど結果的にはマルコも助けられなかった。ミーナやトーマス達も…。結局知ってるだけじゃ駄目なんだなって思ったけど、リヴァイさんがいてくれたから私は頑張ってやってこれました!だから次の壁外調査も頑張ります!」
私が微笑んで言えば、リヴァイさんは驚いたような顔をしたけど少しだけ笑っていた。
「そうか…。何かあれば頼れ。出来る限り、俺はお前を守るから…」
リヴァイさんはそう言えば私の頭を撫でた。
「……あっ、はい」
私は多分顔が赤くなっているだろう。
この夕日のおかげでバレないで済みそうだ。

「夕飯、食ってから帰るか」
リヴァイさんの言葉に私は頷いた。
「そうですね。皆さんも待っているだろうし」
私達は丘を降りて、ごはんを食べようとお店へと向かった。


ごはんを食べようと入ったお店は貴族御用達のような豪華はお店だった。
「リヴァイさん、ここ高いんじゃないんですか?」
「気にするな。俺が払う」
「そういうことじゃなくて…」

こんな豪華なお店今まで一度も入ったことない。
逆に緊張してしまう。
テーブルマナーとか私は慣れていない。
緊張したままお店のウエイトレスに席まで案内された。

「なまえ、こういうとこ初めてなのか?」
「はい。こんな豪華なお店生きてきて一度も来たことありません…」
「そうか。そう硬くならなくて大丈夫だ」
リヴァイさんはそう言うとウエイトレスに注文をしていた。
私はただそのリヴァイさんの姿をジッと見ていた。

「なまえ、酒は飲めるのか?」
「えっ…あっはい。でもそんなに強くはないですよ」
「そうか。じゃこのワインを1つ」
リヴァイさんはメニューを見てワインも注文した。

ワインが運ばれて注がれる。
「今日はありがとうございました」
私は微笑んで言った。
「あぁ…」
ワインが入ったグラスをあげて言えば一口ワインを飲んだ。
「あっ…これ飲みやすいですね」
「辛口じゃなくて甘口だからな。…俺には甘すぎるな…」
リヴァイさんはそう言えばワインを飲み干した。

運ばれてきたメニューはどれも美味しかった。
テーブルマナーもリヴァイさんに少し教わりながらも少し大人の女性になれたかなと思った。

「リヴァイさんここの料理とても美味しいです」
「そうか。なまえの口に合って良かった」
「ここもエルヴィン団長と一緒に来たりするんですか?それとも、女の人とか?」
私は酔っているのだろうか。
思ったことがすぐに口に出てしまった。
「女?いや、ここはエルヴィンがこの店の馴染みらしくてよく連れて行ってくれたんだ。ここの料理は中々悪くないからな。それに俺には女なんていない」
リヴァイさんはため息をした。
「そうなんですか?リヴァイさんって兵士長だし、強くてカッコいいっていろんな女の人が言ってるのをよく耳にしますよー!!」
私は思ったことがどんどん口から出る。
「…なまえ、お前酔ってるだろ?」
「えぇー?酔ってませんよ!!」
私はニコニコ笑いながら言う。
「はぁ、そろそろ出るか」
リヴァイさんはそう言って立ち上がった。
「そうですね。帰りましょう!」
私も同じように立ち上がるとふらりと視界が歪んだ。
「おい!…っ、危ねぇだろうがっ!」
リヴァイさんに腕を掴まれて何とか倒れずに済んだ。
「…すみません。意外に酔ってました」
私は苦笑いを浮かべて言った。
「ったく。ほら、行くぞ」
リヴァイさんは私の腕を掴んだまま、お店を出た。


外に出ると結構な雨が降っていた。
大粒の雨が音を立てて振っている。
「あれ?雨なんて降っていたんですね。お店にいたら全然気がつかなかったです」
私は雨を見上げながら言った。
「俺も気が付かなかった。…この雨じゃ帰れねぇな…」
リヴァイさんは独り言のように呟いた。
「えっ?…帰れない…そうですね。今帰ると2人とも全身ずぶ濡れになりますね」
リヴァイさんの言葉に返事を返せば、まだ掴まれていた手を引っ張られた。
「仕方ねぇな。ちょっと走るぞ」
リヴァイさんはそう言えば私の腕を掴んだまま雨が降る外へと走り出した。
「ちょっ、リヴァイさん!濡れますよー!」
私の言葉もリヴァイさんに届かずそのまま雨の中を2人で走った。

少し走った所で1つの建物に入った。
中に入ると宿舎なのかたくさんの部屋が並んでいた。
リヴァイさんは受付で鍵を受け取れば私の腕を引っ張って部屋の中へ入った。
「リヴァイさん、ここは一体…」
私は部屋に入って辺りを見回すとその部屋には1つしかないベッドとソファーと殺風景な部屋だったが私は1つの言葉が頭に浮かんだ。

"ラブホテル"

「ちょっと待って下さい…。ここは…ラブホじゃないですよね?」
「…ラブホ?何だそれは?」
リヴァイさんは怪訝な顔で私を見る。
「………何でもないです」
私は口を閉ざした。

リヴァイさんは脱衣所からタオルを出せば、自分の頭を拭きながら私を引っ張りシャワー室がある脱衣所へと押し込む。
「風邪を引く。とりあえず先にシャワー浴びろ」
「リヴァイさんが先に入って下さい!」
「駄目だ!なまえが先に入れ。風邪を引かれると困る」
リヴァイさんは脱衣所のドアをそのまま閉めてしまい、私は1人その場に残された。

私はそのまま少し立ち尽くしたが、リヴァイさんも早く入らなくては風邪を引いてしまうと思い、急いでシャワーを浴びるため服を脱いでシャワーを浴びた。


今日は泊まることになるのだろうか…。
まさかこんなことになるなんて思わなかった。
シャワーを浴びながら私は首元に光るネックレスをギュッと握り締めた。




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