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深淵




その海は深くて暗くて

底が見えないの


寄せては返すさざ波の音は心地よくて

そっとそっと瞳を閉じるの


そうしてる内に私は波にさらわれて

暗く深い海に放り出されるの

藻掻いても、藻掻いても

身体は沈んでいくばかりで

浮き上がることを忘れてしまったよう


呼吸が出来ない苦しさと

冷たい海に抱かれて

私は瞳を閉じる


閉じてしまえば、あとはもう静かな闇が広がるだけ

静かでやさしい世界があるだけ


それなのに

私の身体は息苦しさで

不様に藻掻き続けるの



生きたい、生きたいって

不様に藻掻き続けるの








沈んだ気分って夜の海に似ている気がします。底が見えなくて、どこまでも冷たそうで。