音聲響嗚呼、或の日の君の聲が 耳に響いて離れないのです。 わたしを呼ぶ貴方の聲は優しくあたたかく とても心地好い、陽だまりのような聲でした。 嗚呼、貴方はもういないのに 貴方の聲はもう聞けないのに 貴方の聲が曖昧になってゆくのです。 心地好い聲だったと、 優しい聲だったと、 そんなことしか思い出せないのに。 貴方の命を奪ったあの「音」は私の耳から離れないのです。 貴方を思い出す度に、 あの日を思い出す度に、 私の耳に静かに静かに響くのです。 嗚呼、嗚呼。 誰か私の鼓膜を破って。 優しく、静かな無音の世界に私を連れていって。 聞こえるってことは、当たり前で幸せなことで。そして時に残酷なんだと思います。 |