キラキラヒカル | ナノ







はぁぁぁ。

休み時間は教室でスコアブックを読むのが日課な訳だが、今日はなんだかそれがままならない。

「お前どうしたんだよ。さっきから何度目だよ」

「何がだよ…」

「そのため息だよ。ため息!」

「いやー……あー…」





振られた。そう言ったら倉持のヤツ
人の顔を指差して笑いやがった。
しかし今はぶん殴る気にもならない。


「苗字だろ?最近仲良かったじゃねぇか」

「と、思ってたんだけどな」

「御幸先輩は信用ならないです。とか言われたんだろ!いや、性格悪い人はちょっと…とかか?苗字見る目あるー!」

ひー!ウケるなんてむかつく笑い声あげやがって。

「ちげーって」


違う。

苗字はそんなこと言わなかった。
むしろなにも言ってはくれなかった。

ただ、ごめんなさい。それだけを繰り返された。

嫌われてはいない自信があった。
多分、振られた理由もあの松葉杖にあると思ってる。

どうしても、諦めきれない。

「どーするかなぁ」

「なにお前諦めないわけ?ストーカー?」

「バーカ」

「ま、お前はむかつくけど、苗字お前のこと嫌いなようには見えなかったからなぁ」

「だよなぁ」

「…そーゆーとこじゃね?性格悪いのバレたんだよ、やっぱ」

「うるせーよ」


今日、部活見に来るかなぁ苗字。そう呟いたら倉持のヤツに知らねーよ。これ、重症だなぁとやっぱり笑われた。






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