「苗字さん、包交解除ついてくれる?」
「はーい!」
夢が叶って私は今、とある大学病院の整形外科で働いている。
病棟と外来、日によって勤務が変わる忙しい毎日。
この病院を選んだのはスポーツ医療に力を入れているから。
看護と理学療法どちらも働きながらまなべるから。
あの日から三年がたった。
その間、彼氏がいたこともあった。
別にあの子を忘れられなかった訳じゃない。
だけど。
結局私は今、この場所にいる。
動機は不純だったかもしれない。
けれど、だからといってあの子の影をどこかに見ていたりはしない。
スポーツに打ち込む人達を支えたい。
ただ、それだけ。
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