「なんと!あの巻物は名前さんも考えるのを手伝って下さっていたと!?」
「少しだけだよ。私がやったのはクリスくんの相談に乗っただけだし」
「師匠の師匠!!」
沢村くんが、大きい目が落ちるくらい見開いてキラキラした視線を送ってくる。
クリスくんからさずけられた巻物を活用している沢村くんをみて、あ!それちゃんと使っているんだねと、声をかけたら何故か喜ばれてしまった。
「だけど、師匠の師匠はやめて…!」
「クリス先輩なき後、俺は名前さんについて行きます!!」
「沢村…勝手に殺すな…」
正直はじめの頃は沢村くんが苦手だった。 私はクリスくんのリハビリ担当もしているから病院の方でも相変わらずクリスくんに関わっていて、野球部にもいるから沢村くんとクリスくんのことは良く知ってる。
あんなに一生懸命にリハビリしてるクリスくんを見せてやりたい!って思っていた。
でも色々あって二人の関係が良くなると、沢村くんは尊敬するクリスくんが信頼しているからと私に懐いてくれちゃって、恥ずかしいけど少し嬉しい。
純粋に信頼してくれる沢村くんやチームの役に立てるように頑張ろうって思える。
「名前ちゃんてさ、ショタコンなの?」
「な、なにを言ってるのかな?御幸くん」
「いやー?随分沢村と仲いいなーと思って」昔から年下好きだもんねぇ?ニヤニヤして私を見る御幸くんが背後から声をかけてきた。
「純粋に野球部員として応援しているだけです!!!」
ふーん。と嫌な笑顔を崩さず、私の背後で意地悪く笑う御幸くんを見ながら顔を赤くしたり青くしたりしていたら怪訝な顔をした沢村くん達と目が合った。
とりあえず御幸くんの言葉は聞こえてはいなかったようだけど、沢村くんが「あんた名前さんと仲良かったっけ?」なんて言うものだから私は出来るだけ平静を装って「ううん別に」なんて言おうとした所で、御幸くんが先に「昔のちょっとした知り合い」なんて言い出すもんだから頭を抱えたくなった。
なんで言っちゃうかな、そう言う事!
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