君と見る世界の色 | ナノ







どうして青道高校を選んだの?


これ、結構色々な奴から聞かれた。
その度に「さぁ?面白そうだから?」とか適当に返事をしてきたけど、実は明確な理由があったりする。
誰かに言ったら、「は?お前が?そんな理由で?冗談だろ?」って言われるのがわかっているし、言うつもりもないけど。


青道高校は野球強豪校だし、野球部に力入れてるのは有名だけど、私立だし他にも有名な部活があったりする。
その一つが美術部だ。






幼なじみの名前。
家が近所で、男2人暮らしの俺の家によく世話を焼いてくれる名前の両親のおかげで俺達は中学までほとんど毎日一緒にいた。

当たり前のように傍にいた名前が、あの夏の日言ったんだ。


「私、青道高校に行く。」

「は?青道?遠くないか?」

「寮入るから」

聞いてない。そう言うと、「うん。まだお母さんにも話してないから。一也が1番!」って微笑まれた。

「夏休み部活で描いた絵をみて、向こうの先生が誘ってくれたの。絵、続けたいから」

そう言って名前は空を見上げた。



名前が俺のことをどう思っているかは聞いたことがないから知らないけど、同じ気持ちだと思っている。


だから、選んだ。
礼ちゃんから前から青道高校へは誘われてたし。


「え!?一也も青道なの?」

「悪い?」

「悪くないけど、びっくりした。稲実かなーって思ってたから。」

「鳴にも誘われたんだけどな。ま、俺も寮だしこれからもよろしくな!」

「………うん」
遅れてきた返事は、煮えきらない笑顔と一緒だったけれど、俺はその意味を深く考えていなかった。












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