見せかけの情達は | ナノ

美しい黒い瞳



俺の血を体内に入れ、痛みに戦っているタクトを悲痛な面で見た。人間となったタクトだが、相変わらず彼は美しい。容姿は、目立たないが俺と同じ様で少しだけ違う黒の瞳と心に秘めている内面が凄く綺麗だ。だから、彼に瞳が綺麗だと言われた時は歓喜した。やはり、彼は彼だったと。人間なんぞになっても魂は変わらぬ。その事に凄く嬉しくなって安堵した。辛い彼の表情を見ていると俺も悲しくなった。だが、これは。彼が元に戻るためには必要な事。


ぐらり、と床につく前にタクトの身体を支え移動して玉座に座らせた。

タクトの目覚めをゆっくりと見守りたいがそういう訳にはいかなかった。

「なんだ、驚いているようだな」

もはや空気だった奴等を一瞥して、近づく。

「なぜ、あんな、やつを...」

掠れた声で地面を這いつくばっている勇者達はとても無様だが、お似合いだ。あんなやつとは、苛つく野郎だ。

「お前が、あんな奴と卑下するな。あいつは、タクトはお前らなんかとは違う」
「俺の大事な、大事な嫁だぞ?ただ、一人のな」

「なぜです、...あいつは、異世界人ですよ。閉じ込めていたからそんな、暇なんてないです」

「詳細は、話さなくていいだろう?それを知ってどうする。なんの意味もないしお前らに話す価値もない」

「神子は...あいつのせいで傷付いたんだッ!」

神子を称え、どうしてもタクトを悪に仕立てあげたいようだ。話が噛み合わないしやはりこいつらと話すのは時間の無駄だ。



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