見せかけの情達は | ナノ

魔王と対戦


沈黙を破り、勇者達は動けるようになった。すると、直ぐに雑音が聞こえた。勇者よりも前に出て魔王に近づく。

「お前が魔王か、綺麗な奴だな!あ、そうだ。名前教えてくれよ!魔族を使って襲わせたのは悲しかったからだろ!大丈夫だ、俺が友達になってやる」

魔王を倒すと、三十秒前は言っていたのにこの変わりようだ。どんだけ美形好きなんだよ。

「醜いな、お前は。黙ってろ」

すると、醜いってなんだ、酷いぞ。謝れ、謝ったら許してやるとか神子が言うと予想したのにそれは、聞こえなくて驚いた。慌てて、勇者と魔術師の所に戻って来て、口をパクパクさせている。

「テメェ、よくも神子をッ!」

――魔法か。詠唱無しでするのは、とても高度な事だ。流石、魔王。神子が話せなくなった事を黙っている勇者達では無く、勇者が剣を抜き走り魔王に振りかざす。本来の目的を勇者達は思い出したらしい。魔王はそれをよける事無く、額の前で見えない壁で守った。勇者がもう1回振りかざし直した時、魔術師が詠唱を終えて勇者を避け氷の矢が降り注いだ。それも、魔王に塞がれて反撃をされる。

「――――」

何か呟いたと思えば黒い塊が魔王の足元から出てくる。

「なんですか、この塊は」

いち早く気付いた魔術師は防御をしようと杖を振るうが塊の方が早かった。黒い塊が、勇者達に襲いかかって包んだ。かと思えばすぐに霧となって蒸散し、彼等は地に倒れていた。今にも死にそうな、弱々しい呼吸で。



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