空契 | ナノ
52.かくれんぼ (1/5)

     
   
会いたかった。


ひとりがいやだったんだ。


あそびたかった。







  
暗い。そして重く苦しく感じる、夜の帳。
不穏な、気配。
聲。

「っ───うぁ、」

聲が、響いた。
ぎぃ、ん、と、不協和音が頭を殴り付ける。

「ぁ、」

かちん、がち、がちと、嫌な音。
無理矢理、無理矢理、歯車が、形も合わないのに、無理矢理捩じ込まれて、
その不音が───俺の頭を洗脳した。

「っ、」

そうして、盛大な不協和音を産み出しながら俺の脳みそに伝えたのは───、



───あ、ア、ーっ、ひっく、うう、───

───アアアアアアア アア アアア ア アア、アア ア───



「っ、泣いて、る………?」

幼い幼い、子供の、
子供らしい、わめき声。
───いや、子供“たち”…?

だれ?
呼び掛けても一方的に不協和音を鳴り響かせ、俺の頭を叩く。
───うるさい。
ぐしゃりと頭を抱え、思わず、しゃがみこんでしまった。冷たい地面を冷たい、と思わない程に麻痺してしまった体。
それを、慌てて抱き抱えるナミ、騒ぎを聞き付けて起きてきた、アイク、ユウ、サヨリ、シキ、イル。


「レオ!」

「何があった」
「どうしたの!?」

「君はよく倒れるね!?」


………本当、それな。
   

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