4.信頼できる関係 (1/6)
その男っぽい女の、第一印象は、
変人、だった。 世界は何度眩んだだろうか。
長い旅の後、何故か眩んだ視界が晴れた時、
気が付いたら俺は、冷たい機械の中にいた。
ここは…モンスターボールの中か。
何故?
意味が分からない。
ここに至るまでの記憶が断片的にしか、無い。
でも、勘で分かる事は一つだった。
俺は、捕まったのか。人間に。
それを認識しただけで、腸が煮え繰り返ったような気持ちになる。
自分に対しての怒りだ。
どういう経験で捕まったのかは分からないが……覚えて、いないが、
どっちにせよ、あっさりと捕まる自分が馬鹿らしい。
───自己嫌悪に襲われていた、
そんな時、
「とりあえず、
出てこいっ、と!」
俺が入ったボールが空中へほうり投げられた。
今の女…子供の女だと思われる声の主が、俺のトレーナーらしい。
忌ま忌ましい。面倒臭い。嫌だ。見たくない。見られたくない。触れられたくない。死ね。いや、寧ろ殺してやろうか。
舌打ちしながら、俺はパカンと開いたボールが放った光に包まれて地面に立つ。
光で一杯になった視界が晴れていく。
見えたのは、藍色の、
「キモリか!?」
藍色の髪の人間は、水色の右目を瞬きさせながら驚いたように叫んだ。
『……あ゙?』
どうやら、俺のトレーナーはこいつらしい。
…第一開口が、それか。
そもそも、誰だこいつ。見慣れない人間。
青色の肩まである短い髪。首に、スカイブルーの…、
笛、か?小さな笛のペンダントがかかっている。
左目に、怪我だろうか。何故か眼帯をしている。
瞬きを繰り返す右目は、透明に近いような透き通った水色。全体的に、青い女。
俺が言うのもなんだが、その人間の目付きは悪かった。
先程の言葉からして、俺の事を初めて知ったらしい。
そいつは興味深そうに俺を見詰めてきたその視線は、無駄に子供っぽい。
それが鬱陶しくて、ギッと強く睨む。だが、それと同時に交わってしまった視線。
つまりは、そいつは、この碧い眼を見ていた。
────くそったれ……。
普通のキモリなら、この眼は黄色だ。自分は普通じゃない事なんて、とっくの昔に理解していた。だから、何だと怒鳴り散らしたい衝動に駆られる。
*←
→#
1/6
back top