再び目を覚ました私が見たのは、あの蓮池や落ちながら見た荒野ともう一つ、


「あの…」
「わ、な、何でしょう!?」
「とりあえずそこ、退いた方がいいと思いますよ?」
「え?――――っ!?」


目の前にあった人の良さそうな笑顔とは対局にある、殺意が露わな視線と何やら物騒な物がチラリと見えた気がして、私は慌ててその人の上から逃げる様に後部座席に移った
すると急に背後から腰の辺りに腕が回されてグイッと引っ張られた
何かと振り返れば紅い髪と眼をしたちょっと軟派だけれど顔のイイお兄さんがニンマリと笑っていて、その隣りには茶髪に金色の眼をした私と同じ年くらいの、これまた顔のイイ男の子が呆然と私を見上げていた


「あ、あの…」
「お嬢さんお名前は?」
「え…えっと、」
「悟浄」
「へいへい」


よく状況が理解出来ない上に、こんなに顔のイイ人達に会った事もないから、思わず困惑した私に初めに声をかけてくれた優しそうな黒髪に緑の眼のこれまた顔のイイお兄さんが窘める様に誰かの名前を呼べば、それまで私の腰に腕を回していたお兄さんは私を解放して男の子との間にスペースを開けると、私をそこへ座らせてくれた。







4.根性と本能





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