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室井先輩の行為は重ねる毎に激しさを増した。
多分、好意を持った人に対して、執着するタイプだ。先輩の瞳はセックスをしていない時でさえ、ギラギラと情欲を含んだ瞳で見つめてくるようになった。
「ひ、あっ、ん、んあっ」
「もっと、見せて、もっとだ」
いつしか、AVを見てセックスするのも無くなった。先輩が煩くて集中出来ないから嫌になったらしい。
AVを流して、それとなく始めていた行為が今では先輩の家にあがれば、真っ先にやるようになった。女子の様に濡れてくれない孔にたっぷりローションを塗って、背後からいきり立った陰茎を挿入され、時折、下品な音が鳴る。覆い被さる様にして抱き込まれ、激しく打たれる。ああ、気持ちいい。凄く、気持ちいい。一日中、セックスをしたい。ずっとこの気持ちいい快感に浸れるなら。
身体の内側から迫り上がってくる快感に身を任せ、股の間でぶらぶらしている自分の陰茎から精液が出そうになった時だ。くるりと体を反転させられ、押し倒される。孔の中にいる陰茎が擦れ、それに対して快感を拾った僕はポタポタと精液を垂らした。孔がどうしようもないくらい熱を放ってる。中が捲くれて腫れたら、どうしてくれるんだ。
「ぁ、う、あっ」
「後でちゃんと拭けよ、お前の精液」
ソファーの付着した精液を親指で掬い、僕の口の中に押し込んできた。美味しくない、しかも自分が吐き出したものを押し込まれて嫌悪感を覚えないことはない。僕が苦しがっていたとしても、先輩は気にせずに腰を打ち続けた。
「はっ、良い顔だ。すげえ興奮する、イきそうっ」
「ん、んぅっ、んんっ」
僕の口内を自由に動く指を必死に舐める。肉と肉がぶつかる音と息苦しさと、イカ臭さに頭がクラクラする。意識が朦朧として、何も考えられなくなるけれど、それがとても僕を興奮させた。さっき出したばかりなのに、また、イきそう。
僕が内腿を震わせ、イッたと同時に先輩もゴム越しに精液を吐き出した。
***
年の差があるせいで、学校生活は共に過ごす事が出来ない。それは、先輩も理解している筈なのに、僕の私生活にあれこれ口を出すようになってきた。僕が会っていない間、何をしているのか不安らしい。どうしてそんなに気にするのか聞いたら、そう吐露した。とても不安で、重いと思うかもしれないが、好きなんだ、愛しているんだ、と。先輩は僕に告白したんだ。
僕が求めていたのは、性欲だけだ。
気軽にセックスをしてくれる相手が欲しいだけ。
「先輩、顔を上げて下さい。セックスしましょうよ。僕、先輩とのセックスが凄く好きなんです」
俯いていた室井先輩が、僕を見た。
なんて弱々しい目をしてるんだろう。先輩もそんな捨てられた犬みたいな表情をするんだなあって思った。
僕はいつも通り、先輩と体を繋げた後、帰宅した。
また連絡します、と。
そして、翌日。学校に登校した僕は教室では無く職員室に向かった。自分のデスクで仕事をしていた担任の先生に僕は進路変更の相談をした。
「寮付きの私立高校へ進学したいんです。無理を承知で頼んでいます。宜しくお願いします」
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