「おい、坂田…マヨ、マヨ取って」
「ほい。」
土方は坂田の作ったオムライスにぶちゅぶちゅとマヨネーズをかける。
俺の手料理がそのまま食えねぇのか!なんて在り来たりな会話も最初こそあったが、マヨネーズかけた方がうまいと言って聞かないので、最近は見て見ぬ振りをしてる。
坂田が箸をくわえながらチャンネルを回していると、イルミネーションを見に来ているカップルのインタビューが画面に映った。イルミネーションの特集らしい。
「おいおい、明日クリスマスイブだってよ、知ってたか土方ぁ」
「知らね。興味ねぇ。」
「だよなーお前はそういう奴だった。」
『なんでクリスマスでもイブでもない今日、イルミネーションを見に来たんですか?』
ハキハキとした喋り方のアナウンサーが一組のカップルにマイクを向けた。
『だってぇ、イブとかクリスマスはめっちゃ混みそうだしークリスマスはあっくんが、あ、彼氏なんですけど、食事に連れて行ってくれるんでぇー』
猫なで声を出す女が彼氏の腕を抱きながら嬉しそうに答えた。
「ケッ。あんな目がチカチカするよーなモン見て何が楽しいんだよ、光に群がりやがって虫ですか、コノヤロー。食事なんて食った後、ホテルに直行だろ?魂胆が見え見えなんだよ」
インタビューを見ていた坂田がちょっと羨ましそうにそう言う。土方はめんどくさそうな顔をしながら、
「まぁ、俺もそう思う。クリスマスでもなんでもいいけど、ここでこんな風に坂田の飯食ってる方がいい。」と言った。
その言葉に坂田は嬉しそうに頬を染めて抱きついた。
「土方、お前どんだけ俺の事好きなんだよ、まったくもう!」
そういってだらしない顔をしながら土方の頭を撫でる。それに土方は鬱陶しそうに顔を歪める。
(まぁ、坂田んちコタツあるし、坂田の飯うまいし。坂田はうるせぇけど。)
と、思いながら撫でる手をそのままにして幸せそうにコタツに顔を埋めた。