何年ぶりだろうか、ドラコにファミリーネームで呼ばれたのは。懐かしいという感覚を通り越して、私はとっても悲しくなった。
‐‐‐‐
「レディーもう大丈夫?」
「えぇ大丈夫。ありがとうルーナ」
何が何だかわからぬまま慰めていたルーナにお礼をすると、ハリーも心配しながら声をかけた。
そういえばハーマイオニーとロンはどうしたんだろう?
「どうしたの?泣いてたみたいだけど」
「ちょっとイロイロあってね」
苦笑いをハリーに返すとハリーも苦笑いで返した。ハリーは何か聞きたそうな表情を浮かべたが、涙を流していたレディーを前にして質問する気はなくしたようだった。
「ところでハリー、貴方もその鼻どうしたの?」
レディーはハリーの曲がった鼻を見て複雑そうに聞いた。ワイルドな鼻だ。相当強い力を加えなければこうにはならないだろう。
ハリーはまたしても苦笑を浮かべて鼻を摩った。
「イロイロあって…」
ふーん、と言いながら馬車まで歩くと先生が声をかけた。虫すら寄せ付けない門が閉まる。
「おぉ、やっときたか、君たちを捜し回ったよ、名前は?」
「やだ先生ボケちゃったの?もう5年も経ってるのに」
「例外は無しだ レディー」
名前知ってるんじゃない。と、レディーがため息をつくと先にいる人たちをルーナが指さして聞いた。
「あの人たちは?」
「闇払いだ警備をしている」
「この杖はなんだ」と、闇払いが聞いた先にいたのはドラコだった。胸がズキッと痛くなり唇を噛み締める。
「これは杖じゃないマヌケ!!」
「なんだと!?」
フィルチは鬼のような形相でドラコを睨み、ドラコはフンと鼻で笑った。何だか前と雰囲気が変わった。前もツンツンしていたが、なんだか本当に近寄りがたい感じだ。
「問題ないMr.フィルチ我輩がマルフォイの保証人だ」
スネイプがそういうと、ドラコは杖を取り返し、ハリーに目を向けた。けしてレディーは見ずに。
「いい顔だなポッター!」
それを聞いてレディーの顔が青ざめた。ハリーのこの鼻をやったのはドラコだったのかと確信したからだ。
ドラコは眉を吊り上げその場から消えるとレディーは申し訳なさそうに杖をハリーに突き出した。
「レディー?」
「治してあげるわ、ごめんなさいねハリー…ドラコがやったなんて…」
「レディーが謝ることじゃないよ。あー…でもお願いできるかな?」
「私は今の方がワイルドでいいと思うけどな…」
ルーナは残念そうにハリーを見やる。レディーは苦笑いをするとそのまま呪文を放った。
「エピスキー」
バキッと音が鳴るとルーナは残念そうな顔をしている。ルーナの趣味は謎だ。
「顔どう?」
「物凄く普通だよ」
「えぇ、治った。元通りよ」
「そう、よかった、ありがとうレディー」
ハリーはレディーにお礼を言ったがいい気がしない。むしろ申し訳なかった。
ドラコにはフラれてしまったが、まだそうな風には想えないのだ。
まだ、自分の彼の感覚がして…
(だってあまりにも一方的すぎる)
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