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ウィーズリー家の庭は広大だと思う。見た目は雑草だらけだが、自分の家では見られない景色なのでスーと深呼吸をした。森と草の匂いと少しの家畜の匂いが混ざっている。

庭を歩いてくると家の方から走ってくる人が二人。ブンブンと大きく手を振りながら満天笑みで走ってくるものだから、思わず眉を寄せて鼻で笑ってしまった。



「「レディー!」」

「久しぶりねフレッド、ジョージ!」

「うん久しぶり」

「おいフレッド、抜け駆けは良くないぞ。久しぶりレディー」

「さぁ我が家へどうぞ」

「ありがとう二人とも!」



元気な二人に連れられ家に入れてもらった。自分の住んでいる家とはひと味違うウィーズリー家は何だかとても新鮮だ。
家族の写真で動く時計の秒針。
勝手に皿洗いをするスポンジ。
無人に動く縫い物。


「素敵な家ね」

「そうかな」
「レディーが気に入ってくれてよかったよ」
「部屋に案内するからきて!」

「あ・・・!」

「「どうした?」」

「ブレスレット、ありがとうね。とっても気にいってるわ」


レディーはそういうと腕に付けていたブレスレットを見せて笑った。二人は嬉しそうに「どう致しまして」と言い、レディーの背中に手を回して部屋へと案内を進めた。


‐‐‐‐


「やったー!一位上がり!」

「くそーまたレディーが富豪かー」
「レディー強いね」


気づいた時には外はもう暗かった。フレッドとジョージの部屋でトランプゲームをして遊びながら、トイレに行くと言って途中で抜けて一階のお手洗いに向かう。


「ダンブルドアがスネイプに命令した、そうとは考えられないのか?」

「そんな感じじゃなかった!」


トイレに向かう最中に奥の部屋から聞こえた。一人は聞き覚えのある声。もう一人の声はわからなかった。誰かと思い声のする部屋を覗くとそこにいたのはハリーだ。


「ハリー!それにルーピン先生じゃないですか!」

「「!! レディー、どうしてここに!?」」

「フレッドとジョージに誘われたから来たの」



その場にいたのはハリーにモリーにアーサー、三年生で授業を受けたことのあるリーマス。それに綺麗な女の人だった。知らない顔にレディーは一度首を傾げたあと軽く会釈をした。


「ねぇリーマス、この子は?」


女の人が微笑みながらリーマスに尋ねた。モリーはレディーの腕を引いて大人たちが囲むソファーに座らせた。手の上に山盛りに積まれたクッキーの皿がある。いくらなんでもこんなには食べられない。


「この子はレディーって言うんだ。頭が良くてね、三年生の時しか面倒見なかったけど一目置いていた子だ。とっても可愛いだろう?」

「はじめましてレディー・エジワールです」

「はじめましてレディー、私はニンファドーラ・トンクスよ。よろしくね」


お互いにこやかに握手を交わすと、リーマスがお茶を渡してきたので、レディーは申し訳なさそうにして首を横にふった。


「すみません、フレッドとジョージ待たせちゃってるんで、失礼します」

「そうか残念だ…」

「すみません、それじゃあ」

「あ、レディー」



リーマスがレディーを呼び止めた。立ち上がろうとした腰がまたソファーへと沈む。首を傾げリーマスが喋るその先の言葉を待った。


「君の怖いものは何かな?」

「…」


リーマスがなぜこんな質問をしたかわかる。恐らく三年の時の授業の続きだ。マネ妖怪を出現させる授業は、あの時ハリーがディメンターを出したことによって中止となったため、レディーはマネ妖怪を出していないのだ。

その場にいた皆がレディーをじっと見つめた。レディーはため息をついた後立ち上がり、リーマスに一言だけ言い残して部屋を立ち去った。



「…ほら、レディーもきっと死喰い人の仲間だ…」

「わからないよハリー。それこそ目が眩んでいる。レディーは愛する人をなくしたくないだけだ」



ハリーはレディーが出て行った入り口をじっと見つめ、リーマスは肩を落としティーカップに注がれたお茶をゆっくりと飲み干した。



(私の恐怖はドラコがいなくなることよ)


昔の私は恐怖をしらなかった。愛をわかっていなかったの。

---


部屋に戻って、双子とまたトランプで遊んでいるとき、大きな爆発音が家中に響いた。庭が炎を巻き上げて円を描いている。


「一体何があったんだ!?」

「あれは…」


窓の外にいた人を見たとたんレディーは血相を変え、杖を持って部屋から出て行ってしまった。


「レディー!」
「待って!!」
「「行っちゃダメだ!!」」


二人の声に返事もせず、階段を下りて玄関へと向かえば、庭で暴走する炎に苦戦をするリーマスとトンクスの姿があった。隣に並び炎を落ち着けるために杖を振るう。強い魔力だ。なかなか消えてくれない。



「レディー・・・!」

「リーマス先生、ハリーは!?」

「ハリーもジニーも炎を突っ切って死喰い人の元へ走って行ってしまったんだ!!」



レディーは眉を寄せて二人が行ってしまった茂みを見た。真っ暗な闇が先に広がる。ハリーも馬鹿だが、ジニーはもっと馬鹿だ。自分の実力をわかってない。浅はかすぎたのだ。


「なんて馬鹿なの・・・」


そういうとリーマスとトンクスが止める間もなく、レディーは死喰い人とハリーがいる茂みに入って行ってしまった。


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