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「あ、レディーお帰り、どうだった?」


大広間に戻り、横に首を振る。オルガはそう…と残念そうに俯いた。レディーはフォークを持って置いてあったケーキの真ん中を突っついた。


「じゃあ誰を誘うの?」

「行かない。ドラコ以外の人と行きたくないし」


しれっとしたレディーはケーキを口に含み、このケーキ甘すぎると愚痴をこぼした。斜め前ではその種類のケーキをクラッブがもぐもぐと食べている。相変わらずの光景だ。


「そっか・・・」

「断られるなんてわかってたわ。まぁその日の夜は新色のマニキュアでも塗って騒ぎましょうよ!」

「えっ!新しいの出たの!?」


それからの二人はクリスマスパーティーのことは一気に頭から吹っ飛び、夕飯になるまでひたすらファッションやらコスメの話しに花を咲かせていた。


‐‐‐‐‐


スラグホーン先生が主催するクリスマスパーティーの夜ことだった。
お手洗いに行くと言ったオルガは部屋にはいなく。部屋にはレディー一人だった。新しく出たマニキュアを指に塗り乾かしていると、部屋にいきなり飛び込んでくるものがいた。パンジーだ。酷く顔色が悪い。



「どうしたのパンジー?顔色悪いわよ」

「ハァハァ…レディー、ドラコが・・・」

「ドラコが何かしたの?」

「ドラコが捕まったって」

「はぁ?」



なんでも話しを聞くとドラコがスラグホーン先生のクリスマスパーティーに招待されていないのに、付近の廊下をウロウロしていたらしい。
その場にスネイプがいたので何もお咎めはなかったようだ。



「お咎めなかったならいいじゃない」

「レディーは気にならないの!?ドラコがどうしてあんなところにいたのか」

「気にしてない気にしてない、はいパンジーは部屋に戻りなさい。私ちょっと行く場所思い出したからね」



犬のように叫ぶパンジーを無理矢理部屋の外に出すと、レディーは目つきを変えてオルガに書き置きを残し急いで部屋を出た。


---


気にしてないなんて全くの嘘だ。

なぜクリスマスパーティーに招待されていないのにドラコはそこにいたのか、気になってしょうがない。そんななら私の誘いを受けて欲しかった。そしたら一緒にパーティに行けていたのに、なぜ断った?


暫く歩いてランドールが言っていた言葉を思い出した。



「最近ドラコおかしいんだ、一人でいつもどこかに行ってるみたいで、クラッブとゴイルに聞くと『知らない』って言われる」




あの場で、パーティ以外の場所?確かパーティ会場は8階だ。あの階にあるのは…「必要の部屋…」
ドラコは必要の部屋に何の用があるんだ。恐らくドラコの後をつけたとしても目的が分からなければ同じ部屋には入ることができない。追いかけるのは無駄だ。

そんなことをひたすら思い、クリスマスパーティーがあったであろう廊下へと足を進めると、見覚えのある顔にあった。ハリーだ。



「あらハリー。パーティーは終わったの?」

「うんまぁね、レディーはなぜ来なかったの?」

「相手が見つからなかっただけよ。それじゃあね」

「あ、ちょっと待って…!」

「なに?」


レディーを呼び止めたハリーは眉を寄せて複雑気に言った。このあいだのケイティ事件があってからまだハリーとは打ち解けられていない。こちらも眉を寄せてしまう。


「マルフォイは・・・選ばれたって言ってたんだ」


文章がまとまっていないハリーのセリフはレディーには疑問そのものだった。首を傾げて肩を下げた。


「・・・どういうこと?話しがイマイチわからないわ」

「クリスマスパーティーの時、フィルチに捕まったマルフォイがスネイプに連れられて出て行った。そのあとを追ってみたら、マルフォイがそう言ったんだ“僕が選ばれたんだ僕の使命だ”
って・・・レディーどういうことか知らない?」

「・・・・・」

「レディー・・・?」

「悪いけど全くわからないわ。それじゃあねハリー、役に立てなくてごめんなさい」

「あ、ちょっとレディー・・・!」




ハリーの話しを途中で遮り無我夢中で走ってた。あつくなる胸を抑えてそれはもう全力で。
気づいた時にいた場所は天文台で、相変わらず綺麗に星の光るこの場所のフェンスに頭を擦りつけて思い切り泣いてしまった。


僕が選ばれたんだ―
僕の使命だ―



あなたは一体どこに行こうとしてるの。

ドラコが死喰い人になったこと、嘘だって思ってた。信じられなかった。でも本当はわかっていたのかもしれない。
認めるのが怖かっただけ、ドラコが闇に飲み込まれるのが怖かっただけなんだ。
今日のハリーの話しを聞いて核心してしまった。ドラコはきっと死喰い人になってる。そして必要の部屋できっと何か良くないことをしてる。
そう思うとまた涙が溢れてしまった。



「ドラコ・・・私はなんでこんなに弱いのかな」



ルーファスに鍛えてもらった魔法も、大切な人の役に立てないんじゃまるで意味がない。


(これじゃ宝の持ち腐れ)
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