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ハリー達に先に店を出ると告げ、三本の箒を出た帰り道のことだ。


「久々に飲んだけど甘い!」

「レディーもジンジャー入りにすればいいのよ」

「ジンジャーどうも苦手なの」


眉を寄せたその時、後ろ側から大きな叫び声がこだました。何事かと思い足を止めて後ろを見ると、一人の女の子が宙を狂ったように飛んでいる。


「な、ななな何あれ!!」


肩にしがみついてくるオルガを庇うようにして前に踏み出して杖を構えた。
するとその女の子はすぐに地面にたたき付けられるようにして落っこちてしまった。近くに寄り顔を見てそれはもう頗る驚いた。


「ケイティ・ベルじゃない!」


ケイティたちの後ろを歩いていたハリーたちは、なにやら包みのような物を触ろうとしている。漠然とした空気が漂うなか、ハグリットが雪の中をどしどしと歩きながら言った。


「近づくな、下がっちょれ!」


そう言われるとレディーもハリーもその場から一本退いてケイティを見つめた。オルガは完全に震えてレディーの後ろに隠れこんでしまっている。


「よしよし・・・、包み以外は触るんじゃねぇぞ、わかったな?」



ハグリットはケイティを抱き寄せるとホグワーツへと歩いて行ってしまった。


「一緒に行くわよオルガ」

「えー!冗談でしょ…」



レディーが腕を引っ張るとオルガはそれはもう高い声で嫌だと叫んだのだった。


‐‐‐

ホグワーツへ行くとケイティは保健室へすぐに連れて行かれた。それを見ていたケイティの友達のリーアンと、レディーたちはマクゴナガルの元へと案内されていた。



「三本の箒の店に入る前、ケイティはこれを持っていなかったのですね?」

「ケイティは、途中でトイレに行って、戻った時包みを持っていました。届けるのが役目だって…」

「誰に届けると?」

「ダンブルドア先生に」

「・・・よくわかりました、お行きなさい」



マクゴナガルは深いため息をついて肩を落とした。チラッとレディーたちを見ると二度目のため息を吐き捨てたのだ。


「エジワールにスターシップはまぁしょうがないとして、ポッターにグレンジャーにウィーズリー、事件が起こるとどうして貴方たち三人なんですか」

「僕もそれ六年間ずっと思ってました」


オルガと目を合わせて思わず笑ってしまった。和やかな空気になったと思ったらまたすぐに冷たい空気になる。スネイプが来たのだ。相変わらず笑わない男だ。今までオルガと何度も笑わせてやろうと目論んできたが一度たりとも成功したことが無い。

スネイプは杖を出してネックレスを見る。眉間のシワがより一層濃くなると、マクゴナガルは手を合わせた。



「どう思います?」

「ケイティ・ベルは命拾いをしましたな」

「呪いのせいです。ケイティはクディッチ以外では虫も殺せない。ダンブルドア先生に届けようなんて、誰かに操られてたんだ」



ハリーが真剣に言うと、オルガはちゃかすように「ヒュー」と口笛を吹いた。
レディーにやめなさいと怒られると、オルガはうんざりそうにしながら「sorry」と呟いた。さっきまで人の後ろに隠れていたくせに物凄い態度だ。さすがスリザリン。



「確かに呪いはかかってました」

「・・・マルフォイだ」

「・・・はぁ!?あなた何言ってるの!?」


ドラコの名が出てきた瞬間レディーはハリーに怒りをあらわにした。彼を睨みつけ、ロンとハーマイオニーは怖さのあまり一歩引いている。


「それは由々しき告発ですよポッター!」

「いかにも、では証拠は?」



マクゴナガルとスネイプが続けて言うと、ハリーは真っすぐな瞳で「わかるんです」と一言言い放った。



「だってドラコは私が追い掛けていったもの、違うわ!!」

「じゃあきっと追い掛ける前に渡したんだ!」

「ふざけないでよ!!」



レディーのがハリーに今にも飛び掛かりそうなのでオルガは「落ち着いてレディー」と何度も言い、スネイプは眉を上げて子供をあやすような口調で諭した。


「驚くべき才能だなポッター、並のものには望むべくもない才能だ。さぞかし気分がよかろう。選ばれし者という立場は」



レディーの耳にはスネイプの言葉は聞こえず、ただハリーのことだけを睨み続けた。
場の空気が最高潮に悪いと思ったのか、マクゴナガルは本日三度目のため息をついて「寮に戻りなさい」と言いレディーとオルガの背中を叩いた。


レディーの拳はずっと奮えている。オルガはそんな親友の姿をただ何も言わずに見つめるだけだった。





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