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ドラコについて行くと、かなり広い客間に案内された。そこには会いたいと待ち望んでいた人物がソファに座って待っていた。
心臓が早く動いているのがわかる。それほどまでに緊張していた。


「ルシウスさん!」

「レディー久しぶりだね、さあ座りなさい。ドラコもだ」

「はい」



ソファに座るなり、ルシウスは手を組みながら話しを始めた。



「さてレディー、確かキミの母親、サリアの話しだったね」

「はい…」

「ドラコから聞いた時は驚いたよ、君が母の話を知らなかったと…」





「父上、実は話しが・・・」

「なんだ?」

「父上はレディーの母親のこと知っているんですよね?」

「ああ知っているさ」

「レディーが『ルシウスさんに、どうして私の両親のことを知っているか教えて下さい』って僕に聞いてきたんです」

「あの娘が?」

「父上お願いします!父上が忙しいのはわかってますが、レディーのためにどうか話をしてやってほしい」

「頭をあげろドラコ。春休みに連れて来なさい、時間を作っておく。その時に話してあげよう」





「まさか我が息子が頭を下げてくるとは思わなかったよ」


口角をあげるルシウスにドラコは頬を赤くしてそっぽを向いた。ドラコの優しさが身に染み、嬉しさで思わず微笑んでしまう。
彼のこういうところが好きだ。直接的でなくても、愛を感じることができる。優しさが伝わってくるのがわかるのだ。



「ドラコありがとう」

「いや、いいんだ。それよりも…」



ドラコははにかみながら、チラリとルシウスを見た。気づいたルシウスは頷いて口を開いた。


「話すよ。私の知っているサリア・エジワールのことを」



唾を飲み込み、ルシウスは目を閉じた。そして思い返すように語るのだった。



あれは私が学生の頃のことだ。私はスリザリン、サリアはグリフィンドールの学生だった。







「ねえルシウス知ってる?」


スリザリンの談話室のソファに寝そべり、本を読んでいたルシウスにナルシッサは声をかけた。ブロンドの髪をした二人は寮でも特に目立つ。それに二人は純血貴族の中でも特に抜き出たマルフォイ家とブラック家の者だ。寮でもある意味浮いた存在だった。



「何をだ?」


ルシウスが本を閉じ、近くにあったテーブルに置いた。ナルシッサはルシウスの隣に腰掛けた。


「ベラトリックスったらまた喧嘩したんですって」

「誰と?」

「サリア・エジワールよ、グリフィンドールの。ほら、有名じゃない」


ブルネットの髪のあの子よ。とナルシッサが付け加える。ルシウスは嘲笑うように言った。


「ベラトリックスと?それはさぞかし見物だったろうな。ホグワーツが破壊されなくてよかったよ」

「ほんとね、特にベラなんてこの間も階段一つ壊したものね」


ナルシッサは眉を寄せた。姉のやったことながら酷いものだと感じているのだ。ベラトリックスは学校内で酷く荒れているし、なにより例のあの人をこよなく愛していて、 ちょっと変わってる。


「その喧嘩どっちが勝ったんだ?」

「先生が止めに入って引き分けよ」

「エジワールはグリフィンドールのなかでも強い方だからな。ベラトリックスもただじゃ済まなかったろう」


ルシウスが笑いながら、近くにあったゴミを暖炉に投げ入れた。炎がボッと上がった時に、元凶が帰ってきた。


「くそ!あの女め、次あったらタダじゃおかない」

「あらベラ、いつの間に。服がボロボロね」

「今度会ったら殺してやる」


ベラトリックスは帰ってくるなりナルシッサの横に勢いよく座った。ナルシッサのポケットから手鏡を強奪し、顔にできた傷を見てさらにイラついている。



「なんで喧嘩したんだ?」



ルシウスが聞くと面倒臭さそうにしながら、鏡を置いて、さもウンザリしたように答えた。


「男よ」

「男?まさかまたロデオか?」

「大当たり、ロデオ・ハウエル。あの イケメン君


ロデオ・ハウエルと言うのは、スリザリンでルシウスと並ぶほど女子から人気のある生徒だった。
ナルシッサより色の濃いブロンドの髪に、翡翠色の目をしており、ハンサムな顔立ちだ。



「また取り合い?」

「取り合いじゃないわよ。ただロデオがグリフィンドールの女に誘惑されるのは嫌なだけ、ロデオは純血だし、いい奴だからね。それに顔もいい」

「ベラ懲りないわね」

「シシー、あんた他人事みたいに言うわね。姉がとっても苦労しているのに」

「あら、そんなことないわよ」



睨むベラトリックスにナルシッサは無視をしながらルシウスの髪の毛をいじり始めた。そんな様子を見たベラトリックスは拳を握りしめ、近くにあったテーブルを思い切り叩いた。

寮にいた生徒がビクッと肩を動かした。後輩たちは先程までそのへんで本を読んでいたが、ベラトリックスの只ならぬ様子を感じて部屋へと戻ってしまった。



「ふんっ今度はメタメタにしてやるわサリア・エジワールめ」


メラメラと燃えるベラトリックスを見て、ナルシッサは小声で言った。

「ベラは、サリアが恋するロデオを奪って苦しむ顔が見たいだけなんでしょう」と。







ルシウスは一旦話しを止め、紅茶を一口飲んだ。


「ベラトリックス…て、今アズカバンにいる?」


ドラコが口を挟んで尋ねる。レディーの知らない名前だがナルシッサの姉ということはドラコの親戚ということかと納得した。


「ああそうだ、ドラコの伯母にあたるベラトリックス・レストレンジだ」

「ルシウスさん、続きを…教えて下さい」



頷いたルシウスは、飲んでいた紅茶を置いて、再び話しを始めたのだった。


(続きを教えて…)


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