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冬休みが終わってすぐの新学期。アンブリッジは今だに学校を占領して、思いのままに振る舞っていた。体罰も受ける生徒が多く、よく傷跡のついた手をした子を見かける。

そんななか、レディーとオルガは、広間で食事を取りながらクリスマスの時の話しをしていいた。



「レディーのネックレス可愛いわね」

「これ?ドラコがくれたのよ」



レディーは微笑みながらつけていたネックレスを触った。クリスマスにもらってから1番お気に入りのアクセサリーだ。



「へーえ、レディーの好きなものわかってるじゃない…あれ?」

「どうしたのオルガ?」

「あれってレディーの梟よね?」

「え?」



オルガが指を差す先には自分の梟がいた。紙をくわえた梟は、机に紙を落として飛んでいった。新聞紙と手紙だ。大方ルーファスが送ってきたのだろう。



「なに?新聞?」

「うん。それと手紙も」



新聞を広げたレディーは1番大きく写る記事に目を向けた。オルガはその記事が気になり覗き込むと、震える声で文字を読み上げる。



「ベラトリックス・レストレンジを始めとする死喰い人が10人脱獄…嘘でしょ」

「ファッジもこれで目がさめるでしょうね」


頭を抱えたオルガを前に、レディーはベラトリックスの写真を見て小さく呟いた。


「ベラトリックス・レストレンジ」


父、ロデオを殺した人。ロデオが恋した人。こんな人だったのかと写真をじっと見入ってしまう。写真の中の彼女はやつれていたが、ルシウスさんは美人だったと言っていた。アズカバンにいるうちにディメンターに魂を吸われすぎたためだろう。



「あ、レディー手紙は?」



あぁそうだったと、ルーファスから送られてきた手紙を開く。そこにはただ一言。

脱獄犯に気をつけろ。

としか書かれていなかった。



‐‐‐‐


冬休みが終わってから最初の練習であるダンブルドア軍団の練習は無事終わった。

みんながいなくなったと思い、レディーはドアを閉めようとしたが、ハリーとネビルが残っていたことに気づいた。
レディーはオルガに先に行っててと言い、鏡に貼ってある写真を見る二人に後ろから声をかけた。



「何を見ているの?」

「「あ、レディー…」」



二人は気づいてレディーに顔を向けた。


「僕の父さんと母さんだよ」


ネビルは、写真に写る自分の両親を指差してレディーに見せた。レディーは一瞬言葉が出なかったがすぐに笑顔になり応えた。


「ネビルによく似てるわ」

「昔、アズカバンのベラトリックス・レストレンジが僕の両親を拷問したんだ…」



ベラトリックスという名前を聞いてレディーの心臓はドクンと動いた。

自分の恋人の叔母にあたる人物が、まさか友達の両親に拷問をしているとは思わなかったからだ。あぁでもアズカバンに入れられていたということは其れ相応のことをしてきたんだろう。



「でも、それでも二人共決して口を割らなかった…僕誇りに思うよ!!」

「ネビルのご両親のためにも頑張ろう」



誇らしく笑ったネビルに、ハリーは背中を叩いて言った。その言葉にレディーは、自分の両親を思い目を閉じた。



「レディー、どうかしたの?」

「あ、何でもないのよ!」



苦笑いをしたレディーに、話しを変えようと思ったのかネビルは続けて言った。



「レディーのご両親はどんな人なの?」



ネビルは興味あり気に聞いた。レディーはその質問にまた苦笑いをして応えた。



「お母さんとお父さんは、私を大切にしてくれるとってもいい人よ。でも義理なの。本当の親は別にいる」



ハリーとネビルは互いの顔を見合わせて、複雑そうな顔をし、ネビルは眉を寄せて「聞いてゴメンね」と謝った。
レディーは首を横に振って笑った。


「気にしてないの。ねぇ、ネビル…」

「なに?」

「頑張りましょう…みんなでなら、乗り越えられる…」


レディーが微笑むと、ハリーとネビルも同じように微笑み、写真に写る家族を見て頷いた。


‐‐‐


次の日からネビルは、より一層練習するようになった。練習の甲斐あってか武装解除術を習得したネビルは皆に褒められている。

そしてダンブルドア軍団の練習中、集中して練習をしていると、天井にぶら下がるシャンデリアが大きく揺れた。


「なに?」


壁からドンドンと、大きな音が聞こえ、シャンデリアは左右に大きく揺れる。

レディーは焦る皆を真ん中に集めてハリーと共に壁に近づいた。


壁に出来ている小さな穴に目をやると、ピンク色の服をきたアンブリッジがそれは嬉しそうに呪文を唱えたのだった。



「ボンバーダ・マキシマ!」



ドーンッという激しい破壊音が聞こえ、必要の部屋の壁は壊された。

壊された壁の先にはチョウ・チャンが捕まえられており、生徒は絶望した顔で見つめた。そしてアンブリッジは笑顔で言ったのだ。


「捕まえて」


クラッブとゴイルは部屋に入りレディーの両腕を押さえた。



「嫌!ちょっと!あんた達放しなさいよ!!」



オルガやハリー、ほかの生徒も捕まり、レディーはもうダメだと思い俯いた。すると腕にかかっていた力は、スルスルと抜けていく。


「ド、ドラコ…」


クラッブとゴイルから腕を解放させたのは他でもないドラコだった。アンブリッジは顔を強張らせながら二人へと近づく。



「ドラコ・マルフォイ!何をしているのです」



そんな言葉を無視してドラコはレディーの手を取った。



「…レディー大丈夫か?」

「ドラコ、貴方こんなことしたら……」

「恋人を護るのは僕の役目だろ」



アンブリッジは二人の姿を見てヒステリックに叫んだ。


「ドラコ・マルフォイ!貴方も罰則です!フフッ!!」



アンブリッジの言葉にレディーは鳥肌がたった。ずっと前、アンブリッジに傷をつけられたオルガの手を思い出したのだ。
心の痛む胸を押さえてレディーは覚悟を決めて言った。大好きな人はもう絶対に傷つけさせたくない。

レディーはドラコの手を振り払った。


「あんたなんて恋人じゃないわ!」

「は?お、おいレディー…」

「ちょうどよかった、別れを言おうと思っていたの、私マルフォイなんて好きじゃないのよ、遊んでただけなの」



誰もがレディーの行動を疑った、しかしオルガはレディーの行動の本当の意味を理解し、目を背けた。




「レディー、それどういうことだ!?」

「うるさいわね!遊びだって言ってんでしょう!?アンブリッジ、早く私を連れて行きなさい。退学にでもなんでもすればいい。この軍団を作ったのは私よ」

「レディー!!!!!」



生徒は一斉に叫んだ。しかしレディーのようにアンブリッジに立ち向かえるほど勇気のある生徒はいなかった。皆足が震えていたのだ。退学?体罰?何でもいい。アンブリッジのやること全てが恐ろしかった。



「貴女のような規則を守れないものは学校に必要ないわ…フフッ、その他の生徒も校長室に連れて行きなさい!」



荒い息を整えながらアンブリッジは続けた。



「ドラコ・マルフォイ、貴方は優秀な生徒だから大目にみておくけど次はありませんからね」



アンブリッジは太ったお尻を揺らしながらそそくさと歩いていった。
ドラコはクラッブとゴイルに連れて行かれるレディーの肩を掴んだ。


「レディー!!どうしてこんなこと」


周りの生徒も次々と連れて行かれるなか、レディーは涙を瞳に溜めてドラコの頬へと手を当てた。首元にはクリスマスにもらったネックレスが光っている。



「もう、これ以上大切な人を傷つけたくないのよ」

「それをやるのは僕だ!レディーは僕の大切な人なんだぞ!?わかってるのか!?」

「もちろんわかってるよ。でも私の守るべき人でもある…だからお願い」


「泣かないでドラコ…」




ドラコの頬には涙が伝っている。レディーは優しく触れた後、キスを落とした。



「遊びなんてもちろん嘘よ、私はいつも本気だった。ドラコが大好きなの、これからもずっと永久にね」



そう言って微笑んだレディーは、歩いて行ってしまった。
ドラコは崩れ落ち、床を力いっぱい殴った。追いかけられなかったのだ。レディーの瞳が来るなと語りかけているようで、足が震えて動かない。



「なぜレディーが辞めなきゃいけないんだ…なぜレディーが苦しまなきゃならないんだ。なぜ僕はアンブリッジからレディーを護れなかったんだ……!」



ぽたぽたとこぼれ落ちる涙は、床を殴った時に出た血と一緒に流れていく。生徒が連れて行かれるなか、残されたドラコの嗚咽のみが部屋にこだました。



(護るはずが護られてたなんて)

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